不思議な戯曲です。江戸期の初演も再演も不入りだったのに、戦後、歌舞伎以外(新劇)の場で陽の目を見て、南北ブームも手伝っての評判に、歌舞伎で復活上演されて以来、随分な人気狂言になりました。しかも半蔵門の国立劇場で復活されて、歌舞伎座で再演された極く数少ない作品の一つという、ともかく上演歴としては稀有な作品であります。HON-YOMI芝居でリーディング上演した脚色本を元に、新しい気持ちで取り組もうと考えています。まもなく詳細が明らかになります。
明日の公開稽古に向けてのテクリハで、アクシデント!結果、大事に至らなかったようですが、いろいろギリギリでドラマを盛り上げています。しかし、様々な部署で人手が居たり居なかったり、もしくは足りなかったり 。いやあ、皆背水の陣にならざるを得ない、擬似劇団な現場です。
本番の現場(俳優座劇場)とは違いますが、現実の劇場空間を使っての稽古とは!何と贅沢なんでしょう。明日から実寸の装置を使って、実戦稽古です。本日は、衣裳合せやら本番用小道具の確認やら 。いや増さる興奮に只今一人晩酌の最中。
後は公開稽古への準備稽古、そして本番現場の準備そして初日という事で、通常稽古の最終日だったのであります。何と初めてオールキャストが揃いました。部分稽古続きで、コミュニケート出来なかった皆様と、いろいろお話すると意外な繋がりがあってビックリ!出自の違う、言えば寄せ集めなのに、劇団のように若手(最年少21)は「勉強!」と年上の演技を見つめるので、見つめられるこっちは逆に手を抜けない(出演者最高齢は55?45以上は現場何分の一だろう )。単純にいろんな奴が居て面白いっす。
花組を立ち上げる以前に、お弟子の中村紫若(当時=又志郎)丈と共演した際、舞台稽古をご覧になり、黒衣で出ていた私を「ありゃ黒衣じゃない」と駄目出ししたとか
。故郡司正勝氏演出の前衛劇で、黒衣が存在を主張する指示を受けていたので、否定されたのは返って意図通りだったのでしょうね
。戦前から戦後の梨園を体現した俳優が、また一人鬼籍入りをなさいました。歌舞伎座改築を含め、平成歌舞伎はどんなものになるのだろう
。
とは別に。みんな、やっぱり「只」の人なんだね
。