六月大歌舞伎夜の部/歌舞伎座

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様々な要因なんだが、いつ以来だろう、歌舞伎座!

六代目歌右衛門が、「ビルの中に入っちゃう歌舞伎座なんてイヤ」と言い残し、果たして驚くほど先代そのままに蘇った「歌舞伎座」。正面車寄せの威容を引き立てる為に、奥へ引っ込んでそびえる、キレイな格子柄の高層ビルを見上げる度に、良く考えたもんだなア、と感嘆しきり。

こけら落しに来た時は、居心地が悪かったロビーも、空気が落ち着いている。建物って人間の思いがしみ込んで育つもんだな。

「鎌倉三代記」
昨年末「桐一葉」に取り組んだからか、物語に近しくなった。古典歌舞伎は、矢張り役者の肉体を見るもんだな、と再確認。

「曽我綉俠御所染」
両花道使用。東の仮花道分の入場料金が減るというので、野崎村や鞘当などは、ごまかす場合が多いが、芝居が立体的になるからいいもんだ。

「一本刀土俵入」
「大悪名」の劇中劇でチラリとお蔦を演じたが、それに際し、十七代目勘三郎&六代目歌右衛門、二代目吉右衛門&四代目雀右衛門、2バージョンの記録映像を見ているので、興味津々。他に、本で読んだ前進座の工夫、息を吹き返した儀十の子分を睨み付ける、島田正吾の「軒の山桜」幕切れ、先人達が競って工夫した作品。

一緒に見た自由治屋(ふりいじや=押田健史)は、(新歌舞伎より)古典の方が面白い、と。昔は僕もそうだったが、今は、照明の溶暗や、柝なしの幕の開け閉め、など、逆に古風に感じるのは変なもんだ。


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