二月大歌舞伎/日生劇場

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染五郎君、復帰公演である。年明け40になって「人生折り返し」、「根拠のある自信(を目指す)」素晴らしい。俺、不惑なった時、クソ食らえとヘラヘラしてた。「染め高麗!」は骨太になりました。勿論、昨年の怪我があっての事。

忠信、確かなテンションを暴走させない丁寧な踊りと感情変化が的確でしかも濃厚、お相手の福助丈の静御前も、成駒屋伝統の豊かな思入れで応え、藤太役亀鶴丈の真面目な軽さが味付けになり、改めて「吉野山」という舞踊劇が良く判り楽しめた。

殿様と魚屋の酒乱を対にするという原作の動機に立ち返った、染五郎君の丁寧な主計之助。お父さんの宗五郎が、巧みな愛嬌で劇場を掌握し、高麗蔵さんのおなぎが意外に古風で驚いた。

軽いけど、「江戸」を点描する端役が難しい。時代物は型があって、我々現代劇系は手も足も出ないが、世話物だと、リアリズムという取っ掛かりがある。どうせ匂いは出せないながら、何を見て、何に対してどう発言をするのか、相手からどんな情報を貰ったか、受け取った本人は今どう思ったのか、かつて前進座の世話物が、そういう意味で濃かった。大歌舞伎の価値観からは外れるかも知れないが、人間達がそこに居た。

とにかく、復帰おめでとうございます!歌舞伎の豊かさを見て貰おうと、再び射留屋(美斉津恵友)を誘いました(終演後ドイツ料理誘ったのに、写メ忘れた…)。「昨年、桜丸やりました」と高麗屋親子に紹介。九代目「次は何おやりになる?」俺「婦系図です」「章太郎さんや八重子さんの、ご覧になった?ああいう方出ないね。貴方、頑張って下さい」「(内心、大戸惑い)はい、隅っこで頑張ります」


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