久し振りに射留屋(美斉津恵友)を誘ってみました。4月に歌舞伎座が開場するんで、逆に大顔合せの初芝居は演舞場最後になるのかな?
『寿式三番叟』柿葺落としの開場式などで、楽屋での「翁渡し」、舞台での「切火」「清塩」と厳かな儀式の後に上演される舞踊で、格調の高さばかりが目に付くのが通常ですが、今回は千歳が女形姿で(面箱は附千歳が持って来ました)、後半三番叟と連れて踊ります。装置もいつもの松羽目でなく、金の霞から松竹梅が覗く優しいもので、随分華やかな印象。
『車引』射留屋を引き連れたのは、昨年桜丸を演じて評判だったご褒美という訳でないが、色々知った状態で、原典を見る面白さを味わって貰おうと。あんな丸ぐけ、素人じゃ締めらんないよ!松王が烏帽子をはねる時の、黒衣の技に仰天!草履を後ろの黒衣に蹴り飛ばす時の優劣。八代目三津五郎の芸談にあった「駒どめ(牛車が破壊される時、時平の大ドロに掛かる直前に打つ太鼓。牛が逃げ出す音なんだそうです)」はあれの事かしらん?いろんな事が見えました。
『戻橋』昔は小百合役者が、後ろ向きで舞台上で隈を早拵えしたらしいけど、あの大薩摩の尺だけで、顔も扮装も総取っ替えってのも、信じられん。福助丈の小百合が揚幕のキッカケ渡す声が聞こえちゃったのだが、「ハイ!」って実に可憐でした。
『吃又』播磨屋と亡くなった京屋コンビが思い出される。女房役の夫への愛が素晴らしかったが、京屋の足腰を判らないようにフォローする二代目の心遣いもあって、見事な夫婦だった
。その二代目を相手に、ご次男の芝雀丈。伝承ってスゴイね。
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