空間も中身も複雑なパズルのようなお芝居だった。ト書きが膨大な戯曲らしいので、人物の会話と共にそれも読み解かなければならない。
それぞれ固有の闇を抱えた三つの家族の会話が、常に入り乱れ、ついには重なり合う。そして停電が復旧すると共に、明るく幕切れを迎えるものの、本質は何も解決していないという、実は怖い物語である。
松本紀保嬢が、振幅の激しい主婦役を。「サド侯爵夫人」で母と妹娘で共演した小林タカ鹿君が、全裸体当たりで、イケメン旦那役を。阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗君が、繊細なゲイ役を。元天井桟敷、福士恵二氏が、悩める夫役を。
ロンドンで上演された時は、おそらく大爆笑の連続だったろうな、と思う。その証に、出演者の証言では、昨日は客席が随分笑っていたという。思えば、年齢層の高い業界人の多い回ではあった。
俳優も含め、舞台全体のセンスの中に、いい意味での「おとぼけ」感があれば
。俳優と役との距離感という事を考えた。
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