棒になった男/笛井事務所

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「鞄」「時の崖」「棒になった男」全三景の完全上演。「批評」が力を持っていた頃、それを寓意という手段で「演劇」にする事が、極めて効果的であった、安倍公房氏が活躍した当時を思う。

個人的には、時代にくっついていた弊害なのか、戯曲上に現れる、何と言えば良いのか、あの頃の「様式」のようなものに、アナクロを感じてしまった。会話それ自体には、ビビットな人の思いや叫びがリアルに描かれていて、それに応えた、オーディションで選ばれた俳優達の豊かな表現に引き込まれはしたのだが…。

ダンスなど職人的身体技術に頼らない「お芝居」でも、説得力のポイントは、俳優の感性と表現力にある事を、証明して見せてくれた舞台であった。


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