三十年前

| コメント(0) | 修正

平成から振り返る30年前と、明治期のそれとは、国の変わり様がまるで違うから、その驚きは比べようもないでしょう。まして維新を跨いじゃった30年は、恐ろしくもあり、心躍るようでもあり…。

岡本綺堂が残した小説「半七捕物帳」は、そんな経験をした「半七老人」が、江戸を懐かしがって、岡っ引きだった頃の手柄話を語るという趣向になっている。それを聞く相手が明治生まれの若者という、もう一つ設けられた外枠が、この作品の古びない原因かも知れない。

座右の書のように崇めている作家が多いと聞き、これを劇化するという仕事が、今更に畏れ多くもある。


コメントする