柳影澤蛍火(やなぎかげさわのほたるび)

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これが見たいが為に、大阪松竹座へ!翌日(23日/火)は、既に発表のあった空想組曲(ゲスト出演)の稽古なんで、日帰り。


世話物が売りだった宇野信夫氏の珍しい時代物。三島由紀夫氏が「(自分と比べ)格が違うんだな」と絶賛したが、たった一度の再演以来37年陽の目を見なかった。国立劇場への書き下ろしだったせいか、当り役とした三代目実川延若丈の、梨園での微妙な立場も影響があったかも知れない。


柳沢吉保を主役にしているが、物語は完全に宇野氏のオリジナル、「私がこしらえた吉保であります」と述べている。一幕一幕の起承転結が実に歌舞伎らしく、徹底した時代物の下座音楽の効果もあって、新歌舞伎なのに、濃厚な歌舞伎劇を味わえた。長編の元本を、今井豊茂氏が手際よく刈り込んで、少しも冗漫さを感じない。


DVC00024 (4).JPG出演者の中で、やはり桂昌院を勤めた秀太郎丈が、美青年とお金と占いがお好きという生々しい将軍御生母振りが自在、年功だね。初演は片岡我童(十四代目仁左衛門)、再演は二代目鴈治郎(大評判だったらしい)。


綱吉、おさめ、お伝の方、が余興で踊る、行平・松風・村雨の劇中舞踊がカットされているのは残念だが、切りの「保名」で当代仁左衛門が花道から蝶を追って出た時の歓声を聞くと、22回を数える「関西・歌舞伎を愛する会」の松嶋屋への絶大な期待を痛感。座頭の出ない「柳影~」一本ではお客が納まらん。


お伝の方を勤めた片岡孝太郎君の楽屋へお邪魔して『怪誕身毒丸』のチラシを渡す。あ、落語協会の狸柄の浴衣!僕も持ってるもん(笑)。


まもなく彼が昭和天皇を演じる「終戦のエンペラー」が封切られる。これも楽しみだなア。


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