地球は沈没した/燐光群(ネタバレ)

| コメント(0) | 修正

えらいタイトルだ。文章が不用意に分解され、ダンサーでないが故に、日常的な俳優の所作が、ランダムにコラージュされて行く。創作の際に、コンピューターをも駆使する、ニューヨーク辺りでの最先端手法だそうな。

物語を拒絶するやり方なのだが、311以来、全日本国民は何もかもに自分の思いを重ね、どんな表現にも「あの」テーマや物語を見てしまう。なら、それをも想定しよう。

日本的資本主義がその必要悪を、敵役然とその生身を晒してしまった今、言語コミュニケーションは懐疑され、四季の移ろいと共に、二千年変わらなかった日本人の日常が、「巡り来る春」が来ないかも知れない恐怖で、足が地に着かない有様。そして、不意に挿入される「物語」はどれも複数の手垢に塗れた、童話や神話の似非物振りを強調する。

しかし、文字上の起承転結は一切ないのだが、パフォーマンスとしては、実に明解な序破急で、気持ちのいい程の幕切れとカーテンコールに、もしかすると、首都壊滅まで臭わす絶望的な作品なのに、何でこんなに爽やかなの~?気持ち悪~い…。さても巧んだり、坂手氏よ。


コメントする