荒野に立つ/阿佐ヶ谷スパイダース

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シアタートラムに入るなり、制作の伊藤君に「どう発展したか楽しみ!」。プレビュー初日を選んだのは、創作の現場に居なかったので、ほんの少しでもその作りかけを見たかったからなのだ。しかし、テクニカル面はいろいろあろうが、芝居の完成度は、客席のムードといい、大手を振っていい「初日」でした。

昨年の「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」以来、久し振りなアサスパ!早くも豊かな実りを見せてくれた。先ず圭史君の肩肘が随分ゆるんだ。だって「アンチクロックなんちゃら」の次作タイトルが「荒野に立つ」だよ。しかも出ちまうんだよ、自ら。この危うさが親近感に繋がるんだよね。きっとこれは自信の現れだと思う。

また、歪んだドラマに翻弄され、お手上げな登場人物の率直な愚痴や文句を、ちょっと下世話に言わせる事で、どれだけ客席が安心したか。そうそう、こっちも付いて行けないし、ほとほと閉口なのよ…。そんな妙な所でご見物と人物が同意する事で、驚く程、その「少し遠回りしているように見えるドラマ(うーむ、或る思いと言ってもいいかな)」に、没入し落涙する観客が多数。劇的なるものは、意外な所に潜んでいる。

外部の舞台を含め、圭史君がこの一年半積み上げて来た成果をたっぷり堪能しました。何か悔しいね。せめて言おう、俺はね、前回の挑戦に加わってたんだよ~ん!