太平洋序曲/KAAT

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観劇中、ずっと興奮していた。35年前、ブロードウェイミュージカルが、TV放映された本邦初の番組(NET)、見てました!しかも、今は無き「ベータマックス」のビデオテープに録画して、何度見直した事か。そして、オリジナルキャスト版が発売されるや否や購入した現物。DVC00433.jpg画像をご覧あれ。マーカーのサイズでお判りと思うが、CDでなくアナログLPッス!これ貴重でしょ。

大幅カットでTV放映されたから、LPを聞いて見られなかった場面を想像してました。今宵、次々日本語で披露される歌曲が、どれだけ初演版に忠実な声音であるかが一「耳」瞭然。

初演は、立派なウインターガーデン劇場で大掛りな大道具を使った演出だった。黒船の登場が、歌舞伎で言う「居所替り」でね。後ろから書割風な大船が押し出されて、拍手喝采だった。オフブロードウェイでの小規模再演でも「ナレーター」を勤めたマコ岩松氏が、音吐朗々たる歌声で迫力がありました。歌舞伎考証の役目も負っていたハルキ・フジモト氏が勤めたペリー提督は、歌舞伎舞踊の獅子物よろしく、白頭の毛振りを見せていた。

あれやこれやが思い出だされて、一幕が終わると、自然、大きなそして嬉しい、ご馳走様!と言うべき溜息をついていた。最終曲「NEXT(LPには「そして今は」という邦題がついている)」、初演時は高度成長真っ盛り、日本人達が浮かれ踊っていたが、Next!Next!と文明に追い捲られた果てに味わっている、正に「今」を明確に示した幕切れ。本当に何時に無く力強く拍手をする自分に、正直驚いた。立場上、有職には意見があるが、こんなに好きなのに、誰も見向きをしなかった作品を、「今」に蘇らせてくれた亜門氏に感謝!

開演前に企画された、亜門氏によるプレトークも拝見。明晰な解説に加えて、やっぱり役者だね。大変勉強になりました、先輩ッ!