をんな善哉/青年座

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学生の頃、青年座と聞くと、新劇でありながら、歌舞伎(盟三五大切)~ミュージカル(三文オペラ)まで、様々なジャンルの舞台を次々に見せてくれる今「旬」、まさに「青年」座だった。鈴木完一郎氏が大活躍していた。今思えば、大学三年に、最晩年の寺山修司氏に出会わなかったら、青年座の門を叩いていたかも知れない。何せ、大学の実習発表で、「夜明けに消えた(弱虫)」、「第三の証言(梶原一郎)」、「女たちの招魂祭(中年の夫)」と、青年座の名作ばかりを勉強していたのだから。

卒業後、青年座創立メンバー関弘子さんと共演し、ご主人観世寿夫氏の思い出から、ソプラノ歌手だったお母様の関種子さんを紹介して頂いたり、色んな事を教わった。

花組芝居を立ち上げてからは、グローブ座のプロデュースで、手塚秀彰氏のロミオに、乳母をさせて頂いた。その時のジュリエットは久本雅美さんという、異色の舞台だった。

僕は出演していなかったのだが、同じグローブ座で上演された「じゃじゃ馬ならし」で、上杉祥三氏のペトルーキオに、相手のカタリーナを演じていたのが高畑淳子さんだった。その縁か、ペーター・ストルマーレ氏の斬新演出で、僕がティターニアとヒポリタを勤めた「夏の夜の夢」を見て頂いたのがお会いした最初。後にも先にもそれっきりなのだが、先日「ギルバート・グレイプ」を観劇して下さった際、まさに20年振りに楽屋で再会した。

一方、今回の出演者のお一人、青年座の綱島郷太郎氏が、ERで射留屋と共演していたという。また、この戯曲を書き下ろしたのは鈴木聡氏!DVC00371.jpgそんなこんななご縁で、久し振りに青年座の舞台を拝見した。

ともかく高畑淳子さんありきの公演で、出ずっぱりのご活躍。高畑ワールドな舞台に、達者な青年座の共演者が厚みを加え、新劇らしいお顔触れの客席が、打てば響くという具合に笑い、またしんみりとする。青年座の瑞々しさは健在だった。

金八つながりか、森田順平氏も客席に居たので、金魚のフンになって楽屋へ赴く。「今だに覚えてるわ、あなたの女形!」「僕、森田順平の親戚なんです」「ええッ!?」てな事で、配り物のタオルをちゃっかり頂いちゃった。プラス、ご見物全てに配られた試供品もついでに。