三島近代能楽集「邯鄲」「葵上」/結城座

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先日、事務所にチラシの束が送られて来た。花組ヌーベル「番町皿屋敷」。送り主は結城座さん。あ!公演中止になったか!?三島の近代能楽集に、結城座として初めて挑戦すると聞き、楽しみにしていた…。

が、様々な努力が実り、25日(金)から順延公演(~31日)が実現した。夜半の天候が怪しい浅草(アサヒ・アートスクエア)へ出向いた。

糸操りの人形遣いが自分の台詞を言うという形式が、三島の言葉に説得力を与えた。糸操りだと、歩行と浮遊の切り替えが自由、床に放り出す事で、一瞬にして只の物になる、女形も立役も遣うという伝統が、人形遣いの台詞に、或る様式と人物表現への客観性が生れる。これが上手く作用して、装飾的でしかも無機質な三島の言葉がとても伸びやかに舞台に響いた。これは演出の松本修氏も立ち稽古初日で感じたらしい。

そういう成果を目の当りにすると、俳優としては、生身の表現でこれと同じ効果を出すにはどうすればいいのか…。俄然、近代能楽集に挑戦したくなった。単純に悔しくて燃えた!

座長の結城孫三郎氏は、こんな状況だからこそ、途中で諦めては只の職業演劇人になってしまう、是が非でも幕を明けるッ!という気合で取り組んだと仰っていた。この思いは我々を含め業界の人間すべて同様です!