可児市日誌/7月12日(月)

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稽古場へ現れたプロデューサー衛紀生氏、すっと僕の傍へ来て「つかが、死んだよ」そうだ、70~80年代、「アングラ」が次の世代に圧倒され出したあの時、その前線に居たお二人でした。戦友が死んだという感じなんだろうな…。高校時代、同級生から読めよと渡されたのが、つか氏の「小説熱海殺人事件」だった。これが実は芝居だったと聞き、驚いた。歌舞伎以外のチケットを買うのは久し振りだった。初めて紀伊国屋ホールへ行き、更に驚いた。「前売り券をお持ちの方はお早めにお席におつき下さい」ロビーには当日券を持ったお客が群れをなしていた。満員の席につくと、整列させられたお客がゾロゾロ。アッという間に、通路や階段が埋め尽くされた。「うわッ、芝居が終るまで出れない…」幕が開いた。客席がゴーゴー言っていた。でも、何か違和感が残った。同世代の演劇人で「つかこうへい」に影響されなかった者は居ないそうだ。確かに、周辺の誰もが「つか演劇」に一度は憧れたと話していた。かくいう僕は「つか演劇」に近寄らないまま、今に至っている。近寄らなかった=避けた、という点では、僕も影響を受けたと言えるのかな…。演劇に巨大な足跡を残した方々が、一人また一人と鬼籍入りする。合掌。