始まりのアンティゴネ/椿組(ネタばれ)

| コメント(1) | 修正

古代ギリシャ悲劇三大詩人ソポクレスの「アンティゴネ」の翻案!と聞いただけで緊張するのだが、逆に、四世鶴屋南北の「金幣猿嶋郡」の翻案、と謳えば、大概の人が畏まっちゃうのとおんなじか…。

題材をご案内の向きには、その換骨堕胎振りが愉快なんだろうな。そこに、やまゆり園の事件やら、避難児童のイジメ問題が影を落としているのだから、見巧者には堪らない。

出演者総勢十八人!が度々舞台に勢揃いする。一般的な戯曲の場合、喋ってない人物は大よそ死に体になり勝ちなのだけれど、一人として背景化していない。聞けば稽古の過程で、俳優個々の自由発言を随分採用したそうだ。これは作者瀬戸山美咲さんと椿組との信頼関係あっての事で、濃厚な芝居作りが嬉しい。

初日以降体調を崩していた、佐藤誓の復帰第一日目だった。最近演劇賞に輝いた彼の休演には驚いたが、舞台は彼らしい硬軟自在な演技で、ホッとした。元ボスとして自慢の俳優である。


コメント(1)

先週の土曜日に椿組「始まりのアンティゴネ」観に行きました。
加納さんのおっしゃる誰一人背景化していないというのが納得できました。
主要な人物以外にも一人一人の役柄に個性があって会社を守る立場として、子供を持つ立場、従業員としてアンティゴネに賛意は得られないのも納得できて。
自分は桟敷席で左一番前の席、主に佐藤誓さんが座って話をする椅子の前の席だったので
佐藤誓さんの迫力に圧倒されました。
セットも2階にあがる階段と奥の中庭とよくできていて
終盤、男女の情事を織り入れるとは思っていませんでしたが
最後まで素晴らしかったです。
花園神社の辺りは一人ではなかなか行きにくいのですが
今年は福本さんが出演されるというので、行こうかなと思うところです。

コメントする