商業演劇との関わりは、2008年に「恋はコメディ」を演出して以来無かったので、G2氏からお話を頂いた時は嬉しかった。しかも女形一役というのも、外部ではなかなか少なく、又、遠ざかっていたので、立てると思っていなかった、名高き「博多座」の檜を踏めるというのも、テンションを上げるには充分。
「商業演劇」も時代の流れで、往年とは様変わりをしていて、所謂、大スター歌手が座頭で、一部がお芝居、二部がショー、という形式は、昨今極めて珍しくなっている。
大正時代なので丸髷に、松の小紋着に、葡萄を金で織り込んだ帯。博多座の緞帳も古風な葡萄の唐草なのは偶然か
。僭越ながら、二代目英太郎丈を念頭に置いたが、どうもすると、身体の使い方が、大成駒をイメージしてしまうのは、幼児の頃の刷り込みの恐ろしさよ。
早拵えした、葡萄地に、フラフラと揺れたような大柄な立涌(?)の着付けは、反物から仕立て貰った。どちらも、女将という立場なので、襟の出し方をいつもと変えてみた。
一人女形という効果に関しては、絡みの多かった西岡徳馬氏から色々意見を頂き、結果、いい塩梅だったのではないだろうか(手前味噌)。
何より博多弁の微妙さには、地元所縁でない出演者は一同閉口
。「和宮様御留」で京訛りに苦労した経験が、幾らか役立ったらしく、地元「山笠(やま)のぼせ」の兄さんから、完璧!というお墨付きを頂戴した。
「ショーの方も色々考えていてね」第二部の構成・演出も勤めるG2氏のつぶやきが、ドキドキのタネだったが、後ろでちょっと踊るくらいに考えていた。まさか、西岡氏、岡本君、由美子ちゃん、と一緒とは言え、石川さゆり嬢と歌い、名曲「津軽海峡冬景色」の曲紹介までする事になるとは!
ついこの間、数十年振りに再会した、大学同期「二橋(ふたはし)康浩」君と共演出来たのも驚いた。再会したキッカケも、今年始め、同じく博多座製作3月公演「めんたいぴりり」出演の為、久し振りに上京(稽古は東京)しているというので集まった、日芸OB会だった。それから直ぐにこの企画!
もつ鍋、ラーメン(小倉よりアッサリ)、海が近いからか魚介が美味い!名物「ゴマサバ」は、入る店にメニューがあれば、必ずオーダーした。店毎の個性が楽しかった、「虫に気を付けろ」とは言われたけど
。
そうそう他にも、共演の福永大剛君(地元で活動。毎年博多座に立つが、今年は既に三回目!)のご贔屓様が、熟成肉のステーキをご馳走して下さった。
博多座芦塚社長のご好意で料亭「嵯峨野」で、ミシュラン三ツ星の味も堪能した。招かれた博多券番(「券」の字を使うのは珍しい)の芸妓さん達、数を減らし、置屋もなくなり、全員が自前で座敷に出るといい、芸妓を呼ぶに相応しいその座敷も5軒止まりという状況だが、皆一生懸命にお仕事している。
左から、地方はベテラン美恵子姐さん、立ち方の桜子さん、梅香さん、和可奈さん。
未だ研修生の身だが、出演しながら(魚屋と、踊れるというので、G2氏がショーのバックダンサーに採用)付き人も兼ねてくれた、オッシー事、押田健史(12月「毛皮のマリー」で入座披露)は、飲み歩きの達人で、夜の中州近辺を徘徊して、色んな店を見付けて来ていた。
常に笑顔が嬉しく、ともかくバイタリティの塊、石川さゆり嬢、愛すべき先輩西岡徳馬氏、何かと心遣いが有難い岡本健一君、マイペース姉さん高橋由美子ちゃん、その他、書き出すとキリがない共演者の皆様、博多座制作陣各位、頼もしきスタッフの面々様、本当にお世話になりました。
そして、東京をはじめ、各地からわざわざお越し頂いたご贔屓様、友人の皆さま。有難うございました。何か色~んな事を書き落としているような気がするが、ここらで筆を置きます、イヤ、Enterキーを押し終いします、では。
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