吉野悠我氏が演じる「別役実」の世界をやっと拝見する事が出来た。吉野氏は、別役実海外交流シリーズに全て出演している。
知的分析を身上とする「新劇」のある種極致。この作品を評する文章に登場する、「リベラリズム」「ポリス・エクス・マキーナ」「戦後日本」etc.初演の1976年と2015年の今との云々 。
「新劇」の象徴のようでありながら、「山猫理髪店(1998年)」で最後の舞台を勤めた三木のり平氏の芝居が、並み居る新劇俳優を消し飛ばした事実 。のり平氏自身は、日芸の大先輩で出自は新劇だが、早々にコメディアンに転身した。新劇界で(価値観として)避け勝ちな「芸」とか「味」とかで勝負する人が、一番「別役実」だったのである。
その点で、ちょいと屈折した芸歴を持つ吉野悠我氏の、教科書通りでない芝居、その、(実は意図的な)いい加減具合がダントツ。気持ちは真面目、タッチは不真面目。
あ、これ「役」との距離感だね。
初日乾杯のお顔触れが多種多様、しかも「現代演劇界」の王道で、花組芝居との落差を思い知った。
コメントする