お洒落で、暖かくて、哀しくて、そして「愛」の深さ素晴らしさを、メルヘンたっぷりに描いた、不思議な評伝劇。
見ていて、実在の人物を取り上げながら、主役以外全て架空の人々で、その人物(林芙美子)を見事に描き切った、菊田一夫の名作戯曲「放浪記」が思い浮かんだ。
徹底的に昭和に拘ったらしいセット。もしやと思ったら、矢張り茨木さんの御自宅を、小物に至るまで忠実に再現した(客席側の一辺を引き伸ばしてはいるが)ものだった。
谷川俊太郎氏が「宝塚の男役にやらすべき」と言う程、器量良しだった「茨木のり子」さんとは別人の、「のりこ(ノリコ・紀子・典子)」3人の魂が、逸話を再現しつつ鎮魂して行くという構造が、何より面白い(作=長田育恵さん)。
室外から聞こえる様々な物音(子供達の歓声、鳥の囀り、風etc.)が、再現ごっこのキッカケになって行く設定も巧み。
ゲスト4人(木野花姉さん、小林隆さん、野添義弘さん、岡田達也君)が適材適所。
アフタートークに出演なさった谷川俊太郎氏に、同性同名の詩人(裕次郎のイメージだったとか?)を演じた岡田君が平身低頭で可笑しかった。「余りに違うから、逆に安心して観劇出来た(谷川氏)」確かに(笑)。
残念、演出マキノノゾミ氏には会えなかったが、演出助手を勤めた大野裕明から、色々聞いちゃった(苦笑)。
コメントする