ART/関西テレビ(ネタばれ)

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20万フランと言われてもピンと来ないが、368万円(1994年初演当時)なんだそうだ。

セルジュがその金額で買った「白いキャンバスに白い線の入った絵」を、クソだ!と断罪した15年来の友人マルク。二人の板ばさみで右往左往する同じ友人イヴァン。凡人には理解不能な絵画を巡り、三人の本心が吹き出し、絶交寸前に。が、泣き虫イヴァンの涙が、三人のギクシャクを氷解へ導く。

90分に及ぶケンケンガクガクを経た三人は、以前より親密度を増すんではないか?を予感させて、ま、368万円も意味があったという事か…。

フランスのヤスナミ・レザという女性目線で書かれた、滑稽で愛しき男どもの三人芝居。今年5月、似たような絵(青地に白い直線)が、44億円で落札されたオマケ付きで、この戯曲の愉快さは更に際立った。

近代西洋医学のカタカナ単語や、良く知らん哲学者の名や専門用語を含んだ台詞を機関銃よろしく捲くし立てる、出ずっぱりの出演者に拍手!

問題として提起される事柄毎に、三人の関係性が随時変化する様子が、更に明確になると、もっと小気味の良い「喜劇」になると思う。また、度々客席へ投げ掛けられる、個々の独り言に、少し工夫が欲しいとも…。

不可解な絵画のイメージを拡大した美術(島次郎氏)、軽く上品な選曲、素直な衣裳etc.演出の千葉哲也氏が、世界中(35ヶ国語に翻訳)で評判の作品を、日本の土壌で違和感なく見せてくれました。


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