な、懐かしい~!1991年(約22年前!)、グローブ座のプロデュース公演で、まさに多根君が演じた「ヴァレンタイン」を、上杉祥三氏のプローティアスに裏切られ、そしてアッと言う間に許しながら勤めました。
改めて拝見すると、ヴァレンタインいい役だね~。当時は男役に慣れてなくて、台詞言うのが精一杯、役を楽しむなんて 。余りの緊張で、袖で待機するのがイヤで、皆スタンバイしてるのに、ギリギリまで楽屋に居ました(笑)。
劇団シェイクスピア・カンパニーの重鎮、出口典雄氏の演出で、日本語による沙翁劇の実際をチラッと経験出来、嬉しかった。出口氏、言葉のテンションと流れに拘ってましたね。「加納君、手を動かさないで」オーバーアクションを指摘されました。
あの時は、2作品同時上演がお決まりで、もう一方が「ペリクリーズ」。タイトルロールの上杉氏が膨大な台詞に四苦八苦でした。僕は、ちょっと楽させて貰い、アンタイオカスの王女、女郎屋の女将、女神ダイアナ、と、出る度にメイクが違いましたが、軽いお役三つでホッとしました。
二紳士の方は、結末がぶっ飛んでるんで、沙翁劇中上演回数が少ない部類。リアルなんて野暮な追求せんで呑気に遊べば良いという、演出=西沢栄治君の意図が潔く正しい。きっと英国初演当時は、日本の狂言のように長閑な演技演出だったんでしょうね。
プローティアスの伊原君が爽やかで、ハイリンドの両軸がそれぞれを演じると、この二役に友情を越えた何かが見えると、それはそれで説得力が出るのかも知れない。ジュリア姫の声音を褒める侍女が「テノール」という単語を使うのが、女形という延長線上に、同性の美しき愛情というものが、宗教的締め付け以前の、民族古来の伝統が存在してた証しと直感するのだが、如何?
文字ばっかなんで、せめてという事で今食べたいものはコレ!という画像。
白タイツのお姿がすごい印象に残っています。
あの衣裳、肩から胸にかけて中にプロテクターが入ってました。日本人の華奢な体型を補正する為でした。俳優全員が新規にデザイン&縫製されたものを着用させて貰って、贅沢な公演でした。