「収穫」本邦初演、しかもこの作者リチャード・ビーン氏自体、日本での初紹介だそうだ。
ヨークシャーのハリソン家が辿った約百年を、10年~20年ずつに区切った7場構成。そこに歴史と時代の変遷、英国社会と文化のシステム変化、そして家族の栄枯を大胆に繊細に描いた大作。ここにイギリスらしい皮肉な笑いが塗されているのだから、心憎い。
この戯曲が発表された当時のイギリス劇界は「イン・ユア・フェイス・シアター」流行で、見たくない現実を暴力的に90分ぐらいで表現する芝居が主流だった中、3時間近く、伝統的なイギリス演劇の良心を持った異色作なのだそうだ。
森新太郎氏の演出が緩急鋭い。
19~109歳までを演じ切った、ご快癒が目出度い渡辺徹氏(ピッコロ劇団「KANADEHON忠臣蔵」ではお世話になりました)「年取る程、元気になるプランにしました」確かに、老人程逞しいよね。
佐藤アツヒロ君(グローブ座の「夜叉ケ池」が懐かしい)、幅広くなって嬉しい。
阿佐スパの問題作「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」でも力強かった小島聖ちゃんが、更に手強い。
吉見一豊さん(「三国妖狐伝」でお手伝い頂いたなんて、夢のよう)、誠にお久し振り!いい俳優さんになったなア。
直接は存じ上げないのだが、平幹さんのご子息岳大さん、初舞台「鹿鳴館」を見ているけれど、この10年で実に骨太な役者さんに成長なさっていて驚いた。
世田谷区民(46年在住)の贔屓目でなく、パブリックシアターは良質な仕事をやってらっしゃる、とつくづく。
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