海神別荘/PLAY PARK 2012

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干支一回り以前の花組初演時、前後に外部も含め大作続きだった反発なのか、今思うと異色作でした。

泉鏡花「妖怪?」三部作の中でも、暫く逃げてた戯曲。鏡花が同年に発表した「夜叉ケ池」と違い、当時最先端の演出技法の範囲内(書割中心、暗転が場面転換繋ぎとして有効だった頃)で、あんな世界を描こうとした、或る意味挑戦作。小説では、あれだけ無限のイメージを広げる彼が、何と少ない手駒で、思いっ切りな嘘を舞台で現そうとしたか?

文学と演劇の、いわばそういう戦争の一つ兵法、今となっては余り効果的でない(思い切って言うと「ダサイ」)ト書き、それが具体的に書かれちゃってるから、(あくまで指示であって、イメージの共有という文学的表現を排除している)ト書きも含め、戯曲至上主義で臨むと火傷する作品だと、今も思っている。

つまり、歌舞伎風な指示的ト書きだから、読めば具体的で愉快だろうが、余りに現物主義だからこそ、もしや上演を前提しない、読んで楽しむ戯曲だったんじゃないか、と、ここまで穿っちゃった演出なんです。

もうね、具体的な物は何も舞台に出て来ません。ま、生きてる役者が、ともかくも舞台で右往左往しますんで、そこは「事実的」です。それ以外は想像で補うという、実に、日本人の伝統的かつ現代的な趣向満載な舞台であります。


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