たった一人の戦争/燐光群(ネタバレ)

| 修正

またもや、いや社会派坂手氏が、彼十八番の手練で311と向き合いました。絶望的な現実と詞的な劇空間が、交互に押し寄せる。テーマパークのアトラクションのような幕開きと、座・高円寺という箱を知り尽くした上で、降参と言いたくなるような空間処理。フィクション然としてはいるが、台詞の端々に飛び出す数字には、正直戦慄を覚える。

円城寺あや女史が、広い仕切りのない舞台で右往左往する様子が、遊眠社時代を喚起して微笑ましい、と言っちゃ失礼かしらん?「でも、もう飛べないよ」とはご本人の談。初日「(斉藤憐氏の49日前と言う事で)献杯」に加えて貰い、皆さんと高円寺御用達の居酒屋へ。興が乗り、坂手氏と二軒目。

彼とは古いのだが、実は飲み交わした事が無かった。ま、作る物が両極だがらな。俳優と演出家との関係など、随分実際面の話をする。こっちが言葉足らずなのを、汲み取ってくれつつの会話だった感じがする。誘ってくれたのは彼なのだが、立派な肩書きの持ち主が、無位無冠の一演劇人に付き合ってくれたような気がするというのは、全く僻み根性と言うものだろう。いや、彼の包容力に、私が酔ったのだ。楽しくってね、気付けば午前3時でした。