柳生十兵衛/WAKI-GUMI

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「六行会ホール」以前、シェイクスピア協会のイベントで「天変斯止嵐后晴」上の巻を、紋付袴の「素」で上演した以来かな。那河岸屋は、御大脇氏演じる但馬守の次男坊。チラシの写真撮影の時は違う役だったらしい。舞台では毬栗頭でなくすっきり月代な、体制側の青年でした。とてもダンディな脚本で、モノクロ映画のような仕上がり。

このストーリーだと、十兵衛って迷惑な人物だね。日本全国が疲弊し尽くした戦国の世をようやく終らせた徳川幕府。徳川の安泰はつまり日本国の安泰なのに、一人我がままな体制批判の結果、真田家の残党と柳生家を滅茶苦茶にしちゃう。大介の知矩(とものり)が断末魔「父上の思いを判ってくれ…」今の日本も天下国家を慮る人が求められますな。

この時代の芝居はコスチュームをはじめとする様式が難しい。丁度、流行が変った時なんでね。天正風と幕末風が混在せざるを得ない。ちゃんとしようとすれば、一切合財新調しなくちゃならない。それって莫大だし、何よりも先ず、正しい形が記録されてないんで、実は再現不可能なのだそうです。今の歌舞伎様式だって文化文政の頃のものだしね、それ以前は良く判らない。

新馬場駅近くの「ひものや」にて、お互い翌日マチネ公演があるというのに、痛飲してしまった座長と座員でした(苦笑)。