キャンバス

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俳優にとってのキャンバスは自分自身なんです。だから「作品」がよく見えないんです。でもいつの間にか、年数でしょうか、これかな?と思う所に納まるようになったらしい…。ずっと出来ない、出来ない、と思っていたのに、あれ!?ですよ。でもそれは、ずっと「捨て身」だったからでしょうか…。随分以前、郡司正勝氏演出の舞踊劇で踊った時「君は踊りの稽古してるの?」と聞かれ、「いえ、ちゃんとやってません…」「そう、だから所作が背水の陣なんだね」と言われました。実際は、不出来がギリギリ背伸びしてる状態だったのですが、その姿勢を是非は問わずに指摘して頂いた有難さは、今も感じています。ここのポイントは「どうしたら良いだろう…」と悩んでいるのが前提です。悩んでない奴の捨て身は、只の野放図でしかありません。ダメ出しで「危機感」という単語をようやく他人に言えるようになった、30年近く危機を感じていた男の或る日の日誌でした。