三文オペラ

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「同化演劇」と「異化演劇」。同化チームの最右翼は歌舞伎。そして異化はブレヒト、と大学で教わりました。しかも今も現役、「ブレヒトの芝居小屋」を拠点地とする「東京演劇アンサンブル」幹部「入江洋佑」氏に、大学で役者の実践を学びました。ま、大学の授業なんで、入り口レベルでしょうが、「同化演劇で一番は歌舞伎だよ」と言われた時は、ビックリでした。「定式幕が明くと、書割の御殿やら山と川だろ。お客はそれを見てドラマの空間に『同化』するんだよ」それに倣うと、宮本氏の舞台は、実に「異化」に忠実。ドラマや人物に感動せず、主義主張に共感する「異化演劇」を、実に今風にアレンジしたように想う。そのせいで、登場人物が随分類型に陥ったのは、役者&演出、双方の責任でしょう。しかし、亜門氏のセンス全開の舞台で、同業者としてはとても刺激的でした。客席には、山田邦子さん、小池栄子さん、神田うのさん…、興行的にも確かという計算も、実に「ブレヒト」でしょう。だって、あんな愉快な、エンターテイメントな音楽を作るクルト・ヴァイルと「組んだ」のですもの。