吉例顔見世大歌舞伎(昼の部)/新橋演舞場

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昔、南座改装中につき、祇園の歌舞練場で顔見世やってたね。七世梅幸十七回忌、二世松緑二十三回忌、追善興行。相応しい演目が揃います。昨今、追善と言っても、なんでそんな狂言が?ってのが多い中、時代・舞踊・世話という定式通り、お二人所縁の芝居がキレイに並んだ昼夜が嬉しい。

二世松緑通り、引っ込みのない吃又。車鬢、塗り笠の古風な吉野山。当代松緑君が実に丁寧に勤めてました。静の姫扇、昔は房無しだったそうな。衣裳も中振だし。旧歌舞伎座で、定式幕が引っ掛かった魚宗見たな…。庭先で目出度し!なんだけど、幕が三分の一進んだとこで動かなくなってね。その間、下手の二世松緑が芝居続けてて、やっと動き出したと思ったら、幕裾の縫い目が裂けてました。後の幕内の騒ぎを想像してドキドキしちゃった思い出があります。

そんなこんなだけど、貰ったから返すという「伝承」の実際が細々垣間見えて、オジサンは落涙寸前でした。