GGR/天王洲銀河劇場

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『グレンギャリー・グレン・ロス』

「生き馬の目を抜く」筋書の解説で日比野教授が言うように、登場する7人の男共は、善悪構わず仕事に打ち込んでいる。これを映画監督の青山真治氏が演出(初舞台演出だそうだ)し、二枚目俳優石丸幹二氏と正統派歌舞伎役者坂東三津五郎氏ががっぷり四つ!何とスリリングな企画であろうか!

共演者も濃い芸達者が揃い、隙が全くない。平日マチネなのでアフタートーク付き。

石丸氏「口汚い言葉を連発する、初めての役で、本を頂いた時はどうしようかと思ったが、やってみると意外にはまってしまって、身に付き過ぎる前に公演が終わりそうなのが幸いです」

三津五郎氏「歌舞伎で培ったものが全く不必要な役。7枚の剃刀が飛び交うと言うか、7匹のゴギブリが右往左往する舞台で、(5ステージ目で)まだまだゴギブリになり切れてない」

お二人の心構えの違いがとても良く判る、すこぶるいい発言だった。

ギスギスした作品だが、終演後、何故か爽やかな気分で帰路に就けたのは、スタッフ&キャストの皆さんの仕事振りが鮮やかだったからかも知れない。