歌舞伎は素人なのに、生意気な事を言っていつも怒られます(苦笑)。3歳のガキでしたが、一応昭和38年から見ている「眼」が、許せない部分を見つけてしまうんで 。昨日の舞台で言えば、源五兵衛&弥助二役勤めた染五郎くんと、八右衛門と四変化を踊り抜いたラブちゃん、は結構でした。松竹の舞台は、歌舞伎も新派も基本マイクを使いません。僕も演舞場の舞台に立ってみて、あのグルリ桟敷席がいい音響効果になっているように思います。勿論、それぞれの日頃の鍛錬が一番必要です。松竹を脱退して東宝へ走った白鸚、東宝では大概マイクを使いますが、暫くして松竹の舞台にゲスト出演した時に、モニターの声を聞いていた三代目市川左団次が、「あんなに声のいい役者だったのに、女優と共演してマイク芝居してるから駄目になったね。直すのに三年掛かるよ」と嘆いたといいます。身近な例では、元花組芝居の気象予報士、木原実は、学生時とても通る声だったのですが、テレビの仕事中心で声帯がそっちへ馴れちゃったせいで、久し振りに台詞の多い役をやった時に、あっと言う間に調子をやっちゃっいました。花組では、歌のある場合はマイクをつけます。音楽をスピーカーから出す時は、客席への響き具合を基準にしますから、舞台の中では随分大音量になってます。それにつられてシャカリキに歌えば、当然咽喉を痛めます。スピーカーから聞える自分の声を確かめつつ歌うと塩梅がいいのです。