芝翫の藤娘/歌舞伎チャンネル

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児太郎を継ぐ時「女形にされちゃう」と嘆いたと聞く。父(五世福助)を早くに亡くし、祖父(五世歌右衛門)に恩義のある六世菊五郎が責任を持って、女形の骨法を叩き込んだが、七世梅幸や六世歌右衛門という存在が、立女形の座を遠のかせた。80になった今、あるッ丈の思いで踊る藤娘。一世一代の娘道成寺の時とは違う、開放された伸びやかさがあるように思う。彼一流の解釈が隅々に行渡り、立役(六世菊五郎)から教わった女形芸のせいか、叔父(六世歌右衛門)や二世藤間勘祖から「荒い!荒い!」と言われた彼の、そんな事を突き抜けた自由さが舞台を埋めている。聞けば、これを踊る為に、本来総刺繍の重い衣裳を全て、軽い友禅染めに新調して万全を期したらしい。女形、女形…。今、俺が向き合ってる大きな課題が、実はそれ…。