既に55歳になる医師ドールンも、罪多き男である。
「番外」としたのは、この全4幕の間に、他人に行動&意識変化をもたらす程に作用しないから。しかし男女間のあれやこれやには、過去もそして現在も現役であるという事実。
横暴な旦那に辟易している人妻ポリーナが、「私を連れ出して」と助けを求めるだけの、性的な魅力を持った初老の男、数十年前は、地元でブイブイ言わせていたのだろう。別荘を所有する女優も、若い頃は、この田舎の色男に魅かれたかも知れない。彼が今も親しくその家に出入りしている様子から、そんな想像も出来てしまう。
見た目は枯れたかも知れないが、男の色気健在の伊予屋(桂憲一)は、まさにこの「ドールン」を演りたいと呟いたとか 。
出演映画「日本でいちばん長い日」と初日(8月8日/土)を同じくする花組HON-YOMI芝居、幕切れまでドラマの中枢に居る傍観者を、たっぷり見せてくれると期待している。