昼下がり、下町の蕎麦屋の暖簾をくぐってみると、現役をリタイアした老紳士が、「天ぷら蕎麦」の「蕎麦抜き」、通曰わく「ヌキ」で日本酒を飲っていたりする。 これぞ「粋」というものである。 「良きかな・・・」 そして私は今、世田谷のアパートの一室で、「稲荷寿司」の「寿司抜き」、本人曰わく「ヌキ」でホッピーを飲っている・・・ これも「粋」というものである。 「どうかな・・・」 因みに私は昼下がり、下町の蕎麦屋の暖簾をくぐった事は一度も無いのだが。
人並正太郎著「男の作法は案外不作法」より