告白

| 修正

目に飛び込んで来た物は、とても華やかでした。
メニュー一面に溢れる「食事、食事、食事・・・」
「とにかく落ち着こう、そして、せっかくなのだから美味しいものを食べよう」
後悔しても仕方がない。そう思いました。
今日私は、「ここ」で食事をするのだ。
腹は据わっている。そして腹も減っている。
「上手い!!」
何を言っているのだ。上手くも何とも無いではないか、恥ずかしい・・・
並びに並んだメニューを眺めていると、
「ん?ほほう、タンメンか・・・」
私の触手が止まりました。
「野菜たっぷりタンメン。一日分の野菜がこの一杯で!」
上手い。このアピールこそ本当に上手いではないか。
長い独身生活、栄養のバランスに不安を抱える私に説得力のある謳い文句。
決断しました。
すぐさま私は、目の前に設置されているボタンに手を伸ばしタンメン・・・
私は、注文の品が届く迄、「おそらく20代、30代が懐かしいと思う女性アーティスト」で統一されている有線に耳を傾けながら、改めてメニューを左隅から眺める事にしました・・・
ラーメン、味噌ラーメン、坦々麺、豚骨ラーメ・・・
ここで私は、いたたまれなくなり、メニューを閉じました。
「お待たせしました、タンメンになります。ご注文の品、以上でお揃いです。よろしかったでしょうか?」
よくぞ此処まで不思議なマニュアル言葉を作ったものです。
「はい」
いいんだ、今日はここでタンメンさえ食べれば。
そうです。今、私の目の前には、麺が見えない程の野菜と湯気に覆われたタンメンが、静かにこれからの展開を待っているのです・・・