3番カウンターの男

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気が付けば、私は何時もの様に、何時もの時間に、何時ものボタンを押していた・・・
「ラーメン」と「半ライス」
久しぶりである。
久しぶりに身体に悪ふざけの結果「悪玉コレステロール」を残す、黄金コンビを食したかったんである。
セルフサービスの冷水を汲み、どっかりと心の予約席「王子のカウンター」に座り、黄金コンビを待つ・・・
テーブル席では、夜勤明けのタクシードライバーが、瓶ビールを汲み交わしつつ、餃子なんぞをつまんでいる。
「ご苦労様です」
・・・なんて思いつつ冷水をチビリ。
・・・ふと左隣を見ると・・・
年の頃なら35、6。
真っ赤なTシャツに真っ青なジーパン。
真っ赤なバンダナを細く捩りオデコに巻き付け、汗だくでラーメンに取り組んでいる一人の男・・・
男「替え玉!!」
店主「はい!替え玉一丁」
麺のおかわりをするバンダナ男。
まぁ、博多ラーメン屋では当たり前の光景である・・・
店主「はい、ラーメンと半ライス!」
やって来ました我が食事。
「いたーきます!」
箸を割り、食べ始めた私・・・
男「替え玉硬めで!!」
店主「はい!替え玉一丁!」
よっぽど腹ペコだったと思われる3番カウンターの男。
黙々と食べ続ける。
私は私でラーメンと半ライスを交互に行儀良く食べ続ける・・・
男「替え玉!!バリカタで!!」
私「えっ?んっ?」
私がのれんをくぐる前から3番カウンターにいたバンダナ男。
その前からおかわりを続けていたのだろうか・・・?
私は私で食事を終え、冷水を一息で飲み干す。
男「替え玉!!バリカタで!!」
ペースを落とす事無く麺をすすり続ける3番カウンターの男。
男「替え玉!!粉おとしで!!」
どんどん麺の硬度を上げて行く3番カウンターの男・・・
恐らく店の全ての麺の茹で方にチャレンジするとみた・・・
私「素敵だよ、アンタ・・・」
心の中でそうつぶやき、小雨降る表に出て、一本20円のデザートに火を付けた・・・