大野の文豪への道(1)~上野界隈を行く~ 

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 この『大野の文豪への道』は、大野が文豪へと伸し上がるべく、

六人のへそ曲り、

森鷗外(各務)、夏目漱石(大井)、尾崎紅葉(水下)、正岡子規(蔵本)、

泉鏡花(美斉津)、高浜虚子(松﨑)

が所縁の地を旅するコーナーである。 みなさまも足を運んでみてはいかがですか?

 

《第一回/上野界隈を行く》

 

★11:15  田端の《大竜寺》にて正岡子規のお墓参りから、この旅はスタート。

お寺の隅にひっそりと眠っています。

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隣が小学校で、時折小学生の声が聞こえる。子規もきっと笑顔であろう。

 

★11:30  駅前の《田端文士村記念館》に寄る。

田端は、過去の大野作品でも登場した芥川龍之介、萩原朔太郎、室生犀星が

多くの文士とともに大正時代に住んでいた町である。しかし今回は時代が明治なので、

残念ながら、ここの人達は一人も出ない。

 

★12:15  日暮里へ電車で移動。

駅から徒歩3分の《羽二重団子》のお団子を食す。ここのお団子を、

漱石や子規がよく食べたというお店。

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子規は「芋坂も 団子も月の ゆかりかな」と俳句を読んだ。

また泉鏡花の「松の葉」という小説にも登場する。

お庭でお団子とお茶。いい旅だ~。

*ごめんなさい。みたらし、1個食べた後に写真撮りました(涙)

 

★12:59  鶯谷の≪子規庵≫へ移動。

『坂の上の雲』のもっくんがお出迎え。

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12月12日の放送で、香川照之演じる子規が亡くなった為か、

すごい老々男女の大賑わい!

『苦しいよ~、苦しいよ~』と、香川照之がもがき苦しんでる姿を思い出させる。

あ~ここで子規が・・・、そう思うと感慨深い。

すごくこじんまりとしているが、ここで壮絶な闘病生活を送ったせいか、

またそれを描こうとしているせいか、僕にとってはとても重たい空気だった。

*駅からラブホテル街を抜けると、子規庵があります。勇気を持って!

 

★14:00  上野公園・≪正岡子規記念球場≫へ。

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正岡子規は文学を通して野球を広めたという事で、

野球殿堂入りし、東京ドーム内の野球体育博物館に肖像が飾られている。

この時期の野球は寒いだろうなぁと、ごく当たり前の事を思った。

 

★14:10  同じく公園内の≪上野精養軒≫で昼食。

僕が一番寄りたかった文豪スポット!

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明治の文豪も食し、漱石の『三四郎』や『行人』にも登場する精養軒。

ふふふ、一人旅だから誰も叱る者もいまい・・・

『生ビールくださいッ!』

ハヤシライス&ビール。この奇妙な組み合わせも文豪気分だから最高ですっ!

 

★14:48  同じく公園内の≪不忍池≫散策。

鷗外の『雁』に出てくる池であるが、

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見渡す限り枯れた蓮。アタシはとごでもシーズンを逃す。

 

★15:13 文豪スポットではないが近所の≪旧岩崎邸庭園≫へ。

内部は写真撮れないのだが、まァリンクした写真などを見てちょ。

和洋折衷。よくもこんな家に住んでいたな~と思う。

この広さでも、かつての三分の一だそうだ。

そして、ここでもやっぱり、

『龍馬~、龍馬~』と、香川照之が泣き叫ぶ姿を思い出させる。

 

頭の中が香川照之でいっぱいになってきたので、

温泉に入る事にした。

こんな所にも、文豪所縁の温泉があるのだ!

 

★15:48 ≪水月ホテル鷗外荘≫到着。

ホテル内には鷗外が新婚生活を過ごした住まいがある。

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ここで名作『舞姫』が書かれているのだ。

そして、このホテル内に温泉があり、

僕はゆっくり入浴。

・・・もはや完全に観光気分である。

 

風呂から上がると、もう日没。

今回の旅はここで終わるとしよう。

 

それにしても、香川照之すごいな~と思い知らされた1日だった。

(続く)

取材・文・写真/大野裕明

参考文献/散歩の達人『東京 幕末・明治さんぽ帖』(交通新聞社)