先取り日誌スペシャル鼎談企画 第一弾
蔵本康文×松崎賢吾×大野裕明
今回は何と言っても「花組芝居×俳優座」!!の異色タッグで盛り上がっていきましょう!ということで、俳優座より蔵本康文さん、松崎賢吾さん、作・演出の大野裕明の鼎談の模様をお届けします!
ーーまずは、お二人に花組芝居の印象から伺いたいのですが、花組のお芝居を観たことは?
蔵本 僕はだいぶ前に観た後間があって、先日久しぶりに「花たち女たち」を拝見しました。すごいおもしろかったですね。
しかもパンフレットを見たら、結構若い、20代の方がメインの役どころをはってらっしゃって! 芝居を観ている印象で年も上の方々なのかと思っていたので、実際には20代っていうのにびっくりしたんですよね。しかも女性を演じているわけだし、すごいなあ~って、率直に思いました。
大野 “恋たち”をご覧になったんでしたよね? 主役の二人は、堀越が26、谷山が29ですね。
蔵本 すごいな~
大野 松崎さんにご覧いただいたのは逆に“夢たち”の方でしたよね。もう女形をはじめて20年近くになる人たちなので、僕なんかも舞台袖ですれ違ったりすると「あれ?女の人?」って思ったりしますよ(笑)
松崎 そうですよね! 僕は花組の舞台初めて拝見したんですけど、男性しか居ないって聞いていたのに、冒頭で女性が出て来て
。「あれ?客演
の人?あれ?違うのかな?」って(笑)
大野 ふふふ
松崎 その後出てきた方の声を聞いて、やっと「ああ、そうなのか!」って! 最初男性って判らなかったですね。すごいですよね、男性であんな風に色気が出せるなんて。
ーー色気感じましたか
?
松崎 はい(笑)
蔵本 僕は最初「女形」として観てましたけど、しばらくするともう、女性が演じてるって感じで観てましたね。何か劇団に入ってから訓練とかされるんですか?
大野 いえ、特に日々何かをって事はなくて。演目ごとに稽古をしていきますね。演出の加納がつける芝居を見て覚える、みたいな所もあります。
二人 へええ~。
松崎 なんだか花組さんのお芝居を観てると、不思議な感じがしますよね。メタ的になってるっていうか。
ーーメタ?
松崎 あの、二重三重構造になっているような。結局お芝居ってそれ自体が“うそ”じゃないですか。そこに女性を演じる男性がいて。基本は女性なのに時々パッと、わざと男性の部分を出すことで、逆に物語が広がって行ってる感じがします。そういうところがおもしろいなあ~って思いました。
ーー花組芝居と俳優座で、お芝居を観ていて違いを感じたり、逆に共感というか、通じる物を感じたりするところはありますか?
二人 違い
。どうだろう(考え込む)ちょ、ちょっと待ってくださいね。どうかなあ~。
ーー大野さんからみて、どうですか?
大野 え、
ーーおおのの♪と花組でも、ありますか?
大野
いや、
あんまり、ない
ですね。
ーーすみません、答えにくい質問しちゃって
大野 いや
あの、ごめんなさい、ここちょっとカットしてほしいんですけど
、
僕ちょっと、あんまり聞いてなかったです今の
一同 !!(爆笑)
ーーひ、ひどいですね
大野 何の質問か分からなかったんですけど
二人 (笑)
大野 ちょっと濁してみたけど
、誤魔化しきれなかった。
俳優座担当 ここカットしちゃ駄目ですよ。そのまま書かないと(笑)
ーーはい、絶対カットしません。ひどいので。では、気をとりなおして(笑)
一同 (笑)
蔵本 違いというのか、花組さんの芝居でちゃんと笑わせるところは笑わせてって所が、おもしろいなって思って。こういうのやってみたいなって僕は思いますね。
松崎 僕も今聞いてて思ったんですけど、ストーリーからの飛び出方というか、
蔵本 ああ、うんそうだね!
松崎 ここ、今お客さんと俳優が楽しんでますっていう所。俳優座では多分無いですね。
蔵本 うん、無いかも、あんまり。
松崎 俳優座ではストーリーの中から作品を作っていくので。そこから飛び出て、お客さんと俳優が、対人間になる瞬間があるっていうのは、いいなあって思いますね。
大野 今回の「へそ曲り」は、登場する文豪たちの作品から色々なモチーフを持ってきて書いてるんですけど、台本上でもやっぱり、色々飛び出しますね(笑) 例えば「夏目漱石がそんな訳ないじゃん!」っていう感じのシーンもたくさんありますけど、それで逆に演じる役者の個性がこぼれ出るような瞬間が生まれたら面白いなって思います。そうして、人間としてお客さんにリンクするといいなって。
さっきは聞いてませんでしたけど。
一同 (笑)
ーー今回は岩崎加根子さんがご縁で実現した企画なんですよね?
大野 はじめの動機は、各務さんなんです。おおのの♪で各務さんに萩原朔太郎を演じてもらった時、朔太郎の詩をどう読むのかを僕も悩みながら演出していく中で、スラスラっと、情景がわかるように読んでくれて。「おおっ」て、新しい感覚があったんです。その後(各務さんは花組に来る以前、俳優座に在籍していたんですが、その縁で)岩崎加根子さんに出演してもらった時にも、台詞に関して同じ感覚があって、未経験の衝撃を受けたんですよね。「これは何だろう?」って、加根子さんにも聞いたんですが、教えてくれず(笑) でもきっと俳優座さんに何かあると。これはやるしかないなと。
ーーところで、明治の文学で個人的に好きなものはありますか?
松崎 僕は芝居を始める前はサッカーばかりやっていたので、(ちなみに蔵本さんはずっと野球をやっていたそうです)小説を読んだりしなかったんですけど、読んでも最近のものとか。でも俳優座演技研究所時代に夏目漱石の「こころ」だけは何回も読みましたね。3,40回は読んだ。
蔵本 ええっ! そんなに? すごいなあ。
松崎 他の作品は一度読んだら良しだったのが、「こころ」だけは、何かすごく読みたかったんだよね。
蔵本 僕は「こころ」一回しか読んでないけど、でも確かにすごい強烈なものがあったなあ。僕は、漫画で読んだものがあって
名前をド忘れしちゃたけど、その時代の
大野 「『坊っちゃん』の時代」(双葉文庫)ですか?
蔵本 そうです! それですね!
大野 あれは僕のバイブルみたいになってます
蔵本 ああっ、そうですか~。あれは面白いですよね
大野 夏目漱石とか、森鷗外も話の中に、本当は関係のない明治の有名人がうまい具合に登場するんですよ。
松崎 そういえば、俳優座は一時期、森鷗外の作品を結構やってますよね
蔵本 「舞姫」とか
俳優座担当 元々TBSのテレビドラマシリーズで始めたものを、舞台化していく企画で夏目漱石、森鷗外作品を加藤剛主演でやっていくようになりました。
松崎 「門-わが愛」とか、「心-わが愛」もありましたね
ーーこれは、気を引き締めて臨まないとですね!
ーーそれでは、最後に作品に対する期待感や意気込みをお願いします
松崎 やっぱり、台本が楽しみですね。(この時点で大野は第二稿を執筆中)初稿をいただいて、今までやってきたものと全然違って。だから逆に、どうこの作品に立ち向かっていけるかなって。それこそ松崎賢吾の人間性も輝けるような作品に、して下さると思うので(笑)
大野 (笑)
松崎 あんまり役者役者せずに、今まで生きてきたもの全部出せたら、楽しいだろうし、そういう所も挑戦したいと思います。
蔵本 花組さんのお芝居に出るのすごい楽しみですし、僕は恥ずかしながら、チラシの表にこういう風に写真が載るって初めてなんですよ。
松崎 ああ~、これ嬉しいですよね!
蔵本 すっごい嬉しくて! なお且つ劇場が、下北沢じゃないですか。夢だったんですよ、下北沢でやるの。
一同 おお~
蔵本 だから嬉しくて! 頑張らせていただきたいと思います。稽古も楽しみです。
ーーでは大野さんも
大野 あ、
あの~、
ーー聞いてました?
大野 (笑) はい。役者さんそれぞれに色が違うので、そこを上手く出したいし、本当に6人の生き様みたいにできたらいいなと思います。6人が、6人生きているっていうのを描いていきたいです。汗だくになりながら。俳優座の人がこんな事もしてるのかっていう(笑)
松崎 楽しみにしてます!
蔵本 よろしくお願いします
一同 よろしくお願いします!!