自分以外の若手全員をバカにしつつ、
僕こそがインテリであると証明する怪談牡丹燈籠TOPICS
【噺家みたいにゃイカないゼ】
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4月某日、ヒマつぶし目的で花組事務所を訪ねると、
「ちょうど良かった!!」そう言って制作のU嬢がとびついて来ました。
「ヒマな人を探していたのヨ!!」
押し付けられたのがこの怪談牡丹燈籠のTOPICSです。
あまりの失礼千万に、初めは断ってやろうかと思っていたんですが、曰く、
「こういうのは文章力のある人ぢゃないと」
「若手で一番のインテリにお願いしようと思ってたのヨ」
「涼君なら皆が納得してくれるような、知的なTOPICSになると思うわ」
「何といってもメガネが似合っているもの」
「大ちゃん?ダメよ、あんなブルーカラー」
「甘ったるいBOSS缶がお似合いよ」
「涼君はホラ、アールグレイぢゃない」
「存在はキャラメルマキアートだけど」
「ブラウンシュガもたっぷりキャー!!」
などと制作女性陣の、日頃思っていてもなかなか口に出せない本音がビシバシと飛び出たところで、
「任せておきなさい。」
快諾することとなりました。
というわけで、その日のうちに文庫版の怪談牡丹燈籠を借り、読むことになったのですが、
皆様はこの怪談牡丹燈籠というお話はご存知でしょうか?
幽霊が皿数えたり、白無垢で分身するヤツぢゃないですヨ?
おそらくほとんどの方は僕と同じように「タイトルは知ってるけど~」程度の知識しかないのではないでしょうか?
あらすじは割愛しますが、実際読んでみた第一印象はまさに傑作戯曲。
海外で言えばハムレットやオセローのような、いわゆる超一流古典と比べても何の遜色もありません。
ただの怖い話だと思って読むと驚愕しますヨ、コレは。
シェイクスピアなど有名すぎる作品というのは、ともすると敬遠されがちで、
「なんとなく読む機会がなかったから、未だにストーリーわかんなぁい」
みたいな人も多いのですが、それも一般常識という観点から言うと注意が必要です。あまり度が過ぎて
「"To be, or not to be"ってマクベスですよネ?」
なんて発言が飛び出すようだと、花組の『羞恥心』こと、丸川敬之君と同レベルになってしまいますから、
賢明な読者の皆様なら「ハタチをすぎて、それは避けたい・・・」とお考え頂けるでしょう。
特に古語を使用してあると、なかなか食指が動かないものですが、
どんなにとっつきにくいものでも、一度本腰を入れて読んでみれば、
その作品が有名である『ワケ』みたいなものが、必ず見えてくるはずなんです。
食わず嫌いは誰にでもあるものですが、こんなTOPICSを読んで下さる貴方のような方は、
少なからず次回公演『怪談牡丹燈籠』に関心のあるお方でしょうから、
是非、文庫版の『怪談牡丹燈籠』もご一読いただければ、と思います。
何故、自分は見たこともない、この『怪談牡丹燈籠』という作品を知った気で居るのか?
それはこの作品が、まぎれもない名作であるという証拠なのです。
単純に言って、読めばわかる。そして読んでしまえば、
これが、どのように舞台に立体化してくるのか、劇場まで確かめに来たくなるはずです。
なんつって、
なんだか催眠みたいになってきましたが、でも本心です、コレ全部。
インテリをかわれてTOPICSを書いているのに「すごい、ヤバイ」をアピールしているだけだと、
むしろアホな子になってしまうので、少し内容にも入っていきたいと思います。
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怪談牡丹燈籠は、簡潔に言えば主人公、孝助をとりまく仇討ちの物語です。
復讐劇という点では、ハムレットと似ているところもありますが、
孝助の人間像は、ハムレット型【※思索的、懐疑的で行動的でないタイプ】というより、むしろアクティブ。
ケンカしてみたり、いぢめられてみたり、結婚してみたり、仇討ってみたりと、とにかく大忙しの汗と涙の感動秘話です。
・・・と、こんな風に書くと、何処が怪談なの?と、不思議に思う方もいらっしゃるでしょうが、
実は怪談部分は孝助とは少し離れたところで展開していきます。
ハムレットで言うとレアティーズを軸とした物語といったところでしょうか。
三遊亭円朝はこの怪談部分を魅力的に描くことで物語をより重厚なものにしています。
しかも高座での語り通りなのか、2つの話が交互に書かれているため、読み始めると止まりません。
怪談の主人公である、萩原新三郎に感情移入していると、いきなり孝助の話に戻され、
孝助に引き込まれていくと、今度は新三郎に・・・
2つのストーリーはまるで、一本のエレベーターとそれを取り巻く螺旋階段のよう。
読者を深い劇世界に引きずりこむという点では同じところに向かっているはずなのに、
決して真っ向から交わろうとはしない・・・。そこがまた、このお話の妙なのでしょう。
ところが中盤、片方の物語は急な終焉を迎えます。
2つの物語の行く末を見極めようと一心不乱に追いかけてきた読者を、ハッと足止めさせ、
あぁこんな深い所まで来てしまったのかと気づかせる、心憎い演出。
え?どちらが先に終わってしまうか知りたいですか?
それは読んでのお楽しみ。
と言いたいところですが、冷静に考えればすぐにわかることです。
仇討ちという目標に向かって修羅の道をまっすぐ下って行く孝助と、
恋に翻弄され、取り返しのつかない深みにまでクルクルと迷い込んでしまう新三郎。
ただでさえ遠回りになる螺旋階段を、エレベーターに負けじと下っていけば、いつかは目がまわり、足がもつれて・・・
ホラ、ころん。
転がり落ちていく先は、もちろん螺旋『怪談』の闇の中でしょう。
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「噺家みたいにゃイカないゼ」と言いつつ、きれいに締まりました堀越先生のTOPICS。
ここまででも充分大作ですが、まだまだ筆は止まりません。
第2回目にしてすでに予定外の延長戦!
先生、次回は更にDEEPな世界に連れて行ってくれそうです。心してお待ちください!
次回「噺家みたいにゃイカないゼ」後編、乞うご期待!!
写真は、上野にてスワンボートに乗る先生。