第二回 後編その3

「この話の本当に怖いところは、
 自分の身内を半殺しにしてでもまだ、キツネと徹底抗戦しようとする、
 地元の人たちの精神なんだよね。」


ト、次の瞬間、


プルルルルルル。


部屋の固定電話が、1コールだけ鳴りました。
初めは呆気にとられていた4人でしたが、よく考えたら午前2時なんです。
しかもその電話、インターネット用に接続したオマケのようなものだったので、
番号を知ってるのは親しかいません。

起 き て い る わ け な い ん で す よ、11時に寝る田舎の人が。

緊急?一瞬そんな風に考えましたが、でもそれだとワンギリの説明がつかないし、
出なければケータイにかけ直すだろうと・・・

え?親ぢゃない。ぢゃあ誰?

そこまで考えて、多分4人同時だったと思います。






ウワァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!



こたつに潜り込んでガタガタ震えました。
もちろん百物語は強制終了。まんじりともせず、朝を迎えました。

これが僕が体験した最恐のアハ体験的恐怖です。
この事件からしばらくして、僕は出血大サービス、カナシバリ確変状態に突入していきます。

あの『説明がつかない』という事へのゾクゾク、初めて異変に気づいた時の戦慄、
怪談牡丹燈籠に潜んでいるのは、そんな純和風で一線級の恐怖たちです。
その檻の中に、"登場人物"という上着一枚を羽織ってこの身をさらす、俳優としての幸福。
嗚呼、もしかしたら、僕の感じたゾクゾクの半分は、
恐怖というよりむしろ、武者震いに近いのかもしれません。


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