緊張の夏。韓国の夏・・・

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グラスに発泡酒を注ぎ、冷や奴に醤油をかけ、さて・・・
顔ニンマリ、一日で最高の時間が始まる・・・
と、「夏」「醤油」でフワリと過去の記憶が蘇る・・・

9年前の夏。
「花組芝居」に入るなんて脳味噌の一筋にも無かった当時。
私は「新宿梁山泊座員」兼「映画スタッフ」兼「食事担当」の人間として韓国に居た・・・
灼熱の韓国での映画撮影。
過酷であった。
いわゆる「オール海外ロケ」である。
毎日毎日、日本から「スター」と言われる俳優が出演者として渡韓し、撮影が終わると帰ってゆく・・・

ある日、特別出演として「唐十郎」氏が来韓。
「新宿梁山泊」は唐十郎氏が主催する「唐組」とは兄弟劇団であり、映画監督である「新宿梁山泊」の座長は、元「状況劇場」の俳優である。
緊張が走った。
緊張フルマラソンを全力で走った。
下っ端の私など緊張のチョモランマである・・・

とある食事休憩。
韓国の田舎、限られた食材を使い、日本人の口に合う食事をと、全神経を集中。
漸く作り終え、様子を見にテーブルへと向かった。
すると・・・
唐氏「ねえ君、醤油ある?」
私「っ・・・少々お待ち下さい!!」
・・・無いんです。
韓国に日本の醤油・・・
プロデューサーに相談に行く。
プロデューサー「探してこいや」
・・・せやからないねんて・・・
車を走らせ食材店を周り、手ぶらで帰って来た。
当然そんな出来事など遥か彼方。
誰も居ない食堂で大きなため息と共に力が抜けた・・・
しばらくして夏の撮影を終え、全員一旦帰国した。
その際、再度冬の撮影に向けて、我ら食事担当の人間は、トラックで日本の食材を買いに走った・・・


たかが「醤油」
されど「醤油」
しょっぱい苦労自慢・・・

さて、冷や奴〜