口福

| 修正

気が付けば、私は何時もの様に、何時もの時間に、何時ものボタンを押していた・・・
午前10時40分。
「ラーメン」そして「半ライス」・・・
皆様はもう飽きただろか。
しかし私は、飽きると言う事を知らない・・・

何時ものジャージ。
今日は皮ジャンはいらない。
皮ジャンの代わりに、自分の中で「昔はよそ行きだったけど、今は普段着」に格落ちしたトレーナーで店に向かった・・・
何時もの様に、姉さんに食券を渡し、セルフサービスの冷水を汲み、席に着く。
準備万端。
昨夜は炭水化物を抜いた私。
とても腹ペコである。
何時もの様に食事を待っていると、店の奥から店主が現れた。
私(ほぅ・・・今日は夫婦お揃いかぁ)
滅多に無い日だ。
すると・・・
店主「リンさんが合格したって!」
妻「えっ、本当!?」
店主「今、電話があってさ!」
妻「間違い無いの?」
バイトさん「は〜い、お待ちどう様〜、ラーメンと半ライスになりま〜す」
私「あっ、はい、ども・・・」
店主「無いよ。お祝いに今日は焼肉だってさ!!」
妻「良かったぁ〜!」

・・・良かった。
勿論私は、恐らくアルバイトの「リンさん」が何に合格したのかは分からない。
しかし、この店に少し早く、春がやって来たのだ・・・

私「ふっ、乾杯・・・」
私はスープをすくったレンゲを何時もより少し高く上げ、何時もの様に食事を始めたのである・・・