追い詰められるとは

| 修正

本番間近・・・
役者に全く「芝居を付ける」事をしない演出方で此処までやって来た。
全てを「役者が生み出す事」に賭ける演出。
役者のアイデア、役者の生理、その日の気分、偶然でやってしまった芝居を、その様を、初見のお客さんの立場に立って、面白い、つまらない、ここはこうした方がいいと演出する・・・
「飲兵衛親父め・・・」
最初は「なんとまぁ無責任な演出だ」と思っていたが、個人の人間性、努力量、努力しても駄目な物は駄目と、最高に厳しいお客としての意見の厳しさ、鋭さに返す言葉が無い・・・
張っているアンテナはアナログだが、地デジには決して乗らない「深い味わい」がここにある・・・
おまけに、ここ4日間連続、1日2回通し稽古。
本番間近の役者を本番同様に、1日2回本気で芝居をさせる。
「絶対に何かが見える」と・・・
精神的、肉体的に疲労が重なる。
段取りは間違う、台詞は抜ける・・・
ただ、出て来るもんはある。
間違いをごまかす為に、台詞を飛ばした事に寄って歪んだ空間をを力技で処理する為に等々、追い詰められた役者が、追い詰められた状態で生み出す、理性では計算出来ないもんが、理性では計算出来ない瞬間に・・・
此処まで来ると、自分達がやっている事が、面白いのか、つまらないのかは全く分からない状態である。
笑って貰う為に稽古している物に飽きてしまったり、あっさり流したい物にこだわってしまったり・・・
全ては劇場で、自分が舞台に出た瞬間に答えが出るのでありましょう・・・

南極観測隊として追い詰められた人間が、帰国する舟の中での複雑な人間関係、稽古場で同じ様に追い詰められた役者が演じます。
♪お暇なら来てよね〜私寂しいの〜・・・