夜と朝の間に・・・

| 修正

人の話し声で目が覚めた・・・
ラヂオからの話し声。
「では続きまして、ペンネーム・・・」
消し忘れたままのラヂオが朝迄話し続けている。
・・・そんな事はよくある事だが、この時間に目を覚まされるとは・・・
「02:14」
何故こんな時間に?
問う迄も無い。
「ごっつ寒かったから」である。
俺は冬に一度も「エアコン」を付け無い。
理由はただ一つ「肌が乾燥するから」である。
身体を暖める手段は「おこた」「厚着」「酒」である。
ただこの日はその内の「厚着」「酒」すら、我が身を暖める事が無かった。
前日の飲み過ぎで酒を抜き、連日の雨で「寝間着」乾かず・・・
シラフ、Tシャツ、夏用短パンで布団へ潜り込んだ結果である。
「ウルセーな・・・」
枕元のラジオを消そうと右腕を伸ばした・・・
「?っんふぅ・・・」
右の脇腹が・・・攣った!・・・
「いっいっいっ・・・、んっまっ!!」
戻った・・・
「アカン・・・早よ寝るべよ」
姿勢を綺麗な仰向けに整え、目を閉じる・・・
静かだなぁ。
当たり前か。
ちょこっと飲んでみっかな。
でも、寒いし、面相やなぁ、今日は大人しく寝るべぇ。
「今日の俺は大人しく、俺は何も悪い事なぞしていない、寝よう、寝よう」
なのに・・・
「ぅふっふぬん・・・なんでぇぇ〜」
右の太ももが攣った。
「ちょっ、おまっ」
必死に、尚且冷静に、太ももの筋に続いているであろう、足首の筋を伸ばす。
分かり安く言えば、布団の中でロイヤルバレエ団「プリンシパル」のポーズである。
しかし・・・
「ちょっ、まじで、こっみちょっぬ・・・」
堪らず布団から出て立ち上がる。
何をどうやっても治まらない。
夜中「02:18」
35歳、一人暮らし
「だっ、誰か・・・」
1Kの部屋を暗闇の中、麿赤児の様に全身をくゆらせ歩き廻る。
「たっ、助けてぇっん・・・」
充電中の携帯を手に取り・・・戻す。
「所詮、人間、一人や・・・」
歩き廻る。
蹲る。
レンジを開け閉めする・・・
痛みが引いて行く・・・
・・・漸く落ち着いた俺は、無性に人恋しくなり、ラヂオのスイッチを入れ、皮ジャンとチノパンで布団に潜り込んだ・・・

当たり前に目覚める朝、ありがとうよ・・・