後悔の逸品

| 修正

泉鏡花の夜叉ヶ池」伊丹公演の前日、リハーサルを終え、十三の駅前の「大衆酒場」へ・・・
座長、水やん、若手と共に「これ以上楽しい商売はあらへんわ」と全身からオーラを発する店の「看板娘」に引き込まれたしゃくれ・・・
「酒」と安うて美味いもんを愛するのであろうオッチャンらが、ひっきり無しに入れ変わり立ち変わり、大盛況な「飲兵衛の聖地」・・・

狭い店故に、ふたテーブルに別れて座る。
店中に隙間無く書かれている「飲兵衛心をくすぐり倒すお品書き」達。
「さらし鯨」「カンパチ刺」「だし巻き」「生きも」と注文する中、別テーブルDすけが「おでんの焼き豆腐と大根!!」と注文。
「中々、やるがな・・・」と特に意味の無い上からの意見を心の中でDすけに掛けてみたりして。
やがて、テーブルの上に注文の品が並び始めた。
そして、その流れの中、当然の如く姿を表した別テーブルの「焼き豆腐と大根」・・・
侮っていた、衝撃が我が心を駆け抜けた。
出汁をたっぷし吸い込んだであろう「丸々一丁の焼き豆腐と、ちょっとしょっぱそうやけど間違い無く酒に合うであろう醤油色のつやつや大根」
「・・・畜生、許すまじきKばやしDすけめ」ここで真似などするものか。
「見た物食い」は行儀が悪い。
ここで出て来た親の教え、35歳の心を責めた・・・

公演を終え早4日。
今更こんな事を後悔してる私。
余程みっともない・・・

  ペンネーム「前世は間違い無くなぎら健壱の弟」