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ハナオフ『相対的浮世絵』役者インタビュー:その四
井上さんに聞く!
 インタビュー第四弾は、“お啓さん”こと井上啓子さん。
 実は「花組メンバーとは共演経験あり」、のお啓さんを突撃してみました。





Q.シアターブラッツに出演されるのは初めてですか?

はい。客席しか入ったことないです。
今回演技エリアがあえて客席と離してあって、その分奥行きがある劇場なんだなぁと。
私はあんまり小さい劇場って経験ないけど、
小さいながらもお客さんとの距離があるっていうのは、面白いですね。
立ち稽古初日は“この演技スペースに、絶対5人は入れない”って状態でしたが、
少しだけ演技エリアを広げたので、今はね、そんなに狭くは感じない。
本当に東屋の中(注:劇中の場面設定は霊園の東屋)で話をしてるっていう雰囲気になります。


Q.花組メンバーとは、共演経験ありですよね?

まぁ商業演劇では、共演って言ってもあまり芝居でからんだりはしてないですね。
あ、洋ちゃんとは『OINARI』で少しからんだかな。
OINARI』では主に花組ダンサーチームにお世話になりました(笑)
皆とからみまくった(?)のは『西鶴一代女』の時の火事場のシーン。
初回からとばしてましたけど、段々エスカレートして、
しまいには“うるさいっ!”って怒られましたね(笑)
それでみんなと仲良くなったかな。

by.高荷 by.北沢
 女優さんが居るからって、特に新鮮味はないなぁ



Q.とのことですが。

ははは。まぁ、昔っから知ってるし。
今更女優っていう感じでもないんじゃない?私達じゃ。
年齢が近いっていうのもあるかも。
もう、別に…(笑)


Q.稽古場では“野村さん(野村裕子)”の真似が流行っているそうですね。

あ、野村さんって言うか、野村さんにこうして欲しいっていう水下さんの真似ね(笑)


Q.山藤さんから質問です。


by.山藤
 真似されるのは、どうですか?

あ、それは全然気にはならないです。
この台本って、元々架空の方言で書かれてたものを水下さんが標準語に書き換えてて、
あの台詞は影も形もなかったの、初めは。
で、それを水下さんが書き換えたときにああなってたの。
だから、初めの読み合わせの段階で“これはこう読んで”って言われたのね。
多分初めからこう言わせたいっていうイメージがあって書いた台詞だと思う。
あれはもう、水下さんのこだわりですね(笑)


Q.もう一つ、山藤さんから質問です。


by.山藤
 私って、どうよ?

それは私も貴ちゃんに聞いてみたいな(笑)
そうねぇ。今まで貴ちゃんの芝居は観たことなくて…
なんていったらいいの?好感が持てます。
普段を知っていても共演すると“私は女優よ”みたいになっちゃう人っているんだけど、
“あ、やっぱり思ったとおり、貴ちゃんは芝居もそのままだった!よかった!”っていう感じ。


Q.野村さんの役について教えてください。

野村さんねぇ。どうだろう?
単純にいうと、他の出演者4人と、全然別のところにいる人で、
う〜ん、おしゃべりで…と言うか、存在がウルサイ人。
おしゃべりすぎて今まであんまりお友達がいないような。
桂君がやる遠山さんって人は、すごくいい人なんだろうな(笑)
“この人だったらきっと私の話を聞いてくれるわ!”って思って、
あの世でムリヤリお友達になったと。
で、これも想像なんだけど、
野村さんって今回初めてこの世に出てくる2人のお目付け役なのね。
それはきっと、彼女は神様だか閻魔様だかに
“私友達だから監視しますっ!”ってなんか調子良いこと言って、
常に一緒に居られるようについて来た(笑)


Q.お化けっぽくないですねぇ。

そうなの。だれもお化けっぽくないの。
でも野村さんは多分ね、自分のことお化けだって思ってると思う。
“私達、もう死んでるのよ”っていうシビアな台詞も多いし。
まぁ、旦那は再婚しちゃうし、子供も(その再婚相手に)なついちゃうし、さびしいのよ。
だからずーっと喋ってるの。
ますます“私の話を聞いて!”ってなってるんだと思う。
後ね、今回の共演の方って、皆劇団員じゃないですか?
皆それぞれ帰るところがあるっていうか。
で、私はずっとフリーなんですけど。
この(芝居の)質の違いって言うのを
誰とも同級生でもないし、兄妹でもない野村さんのウキ加減に生かせればいいかなって思うんです。


Q.野村さん役は難しいですか?

根本的に私がおしゃべりじゃないんで、
“おしゃべりな人”のイメージで台詞言ってました、最初。
知り合いのおしゃべりな人を思い浮かべながら
“こうかなぁ、あぁかなぁ”って表面上だけをなぞってると、
『心底自分から喋りたいと思ってない』っていうダメ出しがビシバシくる。
“おしゃべりな人って言うのを演じてる”っていうか。
そのダメ出しはよく分かる。自分の中におしゃべりな要素がないから。
だから今(インタビュー中)はすごく頑張って喋ってます(笑)


Q.野村さんは、みんなより年下の設定ですか?

遠山には呼び捨てにされてますけど、同級生組よりは上なのではないかと。
40ぐらい。
みんなと年は近いけど、死んでからは年数が浅いです。
土田さんがどういう風に思って書いたのかは分からないけれど、
智朗の台詞にあるように「一体どうなってるの?」って設定がたくさんあって面白い。
まぁ若いときに同級生が死んじゃったなんていう経験もないけれど、
その人たちが甦ってきて3日おきに呼び出されるっていうのもねぇ。
大体、お化けと待ち合わせするっていうこと自体可笑しいでしょう(笑)?
場所と時間を指定されて、しかも午後9時とかって、意外に早い時間なの(笑)
フツーだよ、その時間。
野村さんは、台本上は死んで2年なんだけれども、出てくるのは3回目なのね。
で、1回につき2週間とか期限って決まってるのかなぁとか考えると面白いよね。
そういう「ぷっ」っていう台詞も沢山ありますので、お楽しみに。


Q.霊感はありますか?

霊感は、ないです。
以前舞台で一緒だった人が霊感の強い人で、
“二十歳までに見なかったら、絶対見ない”って言われた。
でもね、最近見えるわけじゃないけど“あ、今ここにいるな”って感じる事はある。
顔とかが見えたら怖いんでしょうね、きっと。
でもこれだけはっきりでてきたら怖くないか(笑)
ただ、(死後)初めて野村さんが旦那と会った場面がないでしょ、この芝居では。
だからその時の彼のリアクションとかは考えますね。
でもね、意外と旦那は野村が出てきた事に気付いてないかもしれない。
彼女は自分が旦那に会いに行ってると勝手に思い込んでるけど、ホントはね…。
子供は霊感強いっていうから「パパ、今ママがいたよ」とか、
「ママ、パパがもう来ないでくれって」とか言ってるのかも。


Q.ずーっと喋ってて、台詞覚えるのは大変ですか?

読み合わせを1週間やったっていうせいもあって、台詞は気付いたら入ってましたね。
同じ台詞が何回も出てくるところはとっ散らかってるけど、それは皆おんなじだから(笑)
でね、最後にまったく出なくなってからの智朗さんの
『……あの人は?野村さん?』っていう台詞で救われてます(笑)
それにはね、応えないとね。
居なくなったときに、“あの人どうした?”っていう。


Q.水下さんの演出は?

何回かやってますけど、ちゃんとストーリーのあるお芝居をするのは初めてかな。
今回は特に緻密ですね。
水下さんはね、怒らない。
本人の中で“モーッ”って思っててもあまり表に出さないの。
何回も何回も同じシーンをやる。
それは本人も言ってるけど、演出サイドに“?”があるからなんだって。
そしてやっぱり加納さん演出の流れは汲んでると思いますね。
いい影響だって自分でも言ってますけど。


Q.今回の見所は?

なんだろう?
やっぱりあの3人(桂・北沢・高荷)が同級生をやってるっていう面白さかな。
あと、静かな洋ちゃんと邦ちゃんね。
え、皆おんなじ事言うの(笑)?
いや、本人達的には不完全燃焼なのかもしれませんが、全然そんなことないですよ。
本公演ではあまり観られない一面っていうか。
これはハナオフなんだからさ、って桂君とかも言ってるし。
もちろん「本公演と違います」ってことを見せるためにやるわけじゃないんですけど。


Q.ここまで読んでいただいて、一言。

大人がやってる普通の芝居?
あ、そういうと花組が普通の芝居やってないみたいに聞こえると困りますけど。
そうじゃなくて、ちょっと普段の花組とは違ったものになるとは思うけど、
皆バカほど芝居が好きなことにかわりはないのでぜひ観て頂きたいです。



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