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ハナオフ『相対的浮世絵』役者インタビュー:その弐
海千屋に聞く!
 インタビューシリーズ第二段。今回は稽古直後の北沢さんを突撃。
 キーワードは、『僕と高荷』です。





Q.ハナオフは今回初登場ですね。

そうですね。僕は最初のハナオフは外部出演の関係で観てなくて、
2回目の加納さん演出のは観てるのね。
だから“水下演出”というのを観ていないんだよ。
ハナオフは普段の花組本公演ではやれないことを少人数、小空間でやるっていう
“悪場所”的な楽しみっていうのはありますよね。
女優さんもはいってるし、内容的にも本公演とは違ってるしね。
そして今回のもまた前の2作品とは違ってるんだよね。


Q.タイトルだけ聞くと和ものっぽいですね。

あぁ、これね、『相対的浮世絵』。
これ、俺意味っていうか、まだ水やんとも皆とも話してなくて分かんないんだけれども。
不勉強ですね(笑)
タイトルだけ見るとね、内容はわからないよね。


Q.稽古場の雰囲気は?

楽しいよ〜。
まずはこの面子ね。役者プラス水下っていう6人?
普段だとさ、稽古場に先輩もいて後輩もいて研修生も、スタッフさんとかもいてさ、
30人ぐらいいる中で稽古してますよね?
それが今6人しかいなくて、みんなでものを作っていることをすごく身近に実感しますね。
花組以前にやってた学生のころを思い出す感じ。
当時は公民館とか、クーラーもないような小さい稽古場借りてやってたんだけどさ。
あの頃のシャカリキになって芝居を作ってた雰囲気と似てる。
(芝居)つくり易いよ。


Q.共演者が同年代っていうのも影響ありますか?

同年代っていうのは大きいねぇ。
芝居の内容も同年代のキャラクターたちの話だし、
実年齢からいっても同世代だしね。
花組だと(年齢の)幅が広いじゃない。えぇっと、22から48?
そのくらいの幅で普段はやってるんだけれども、
今回みたいに同じ世代の連中が、
ああでもない、こうでもないって言いながら芝居やってるのは面白いよね。
で、また今回は高荷がいるっていうのが俺にとって大きいんだよ(笑)


Q.高荷さんとはどういうお付き合いなんですか?

高荷って言うのは、それこそ加納幸和とか、木原実とか、
まぁほかに活躍している人はいっぱいいるんだけれども、
そういう面子の中で始めてお客さんからお金貰って芝居した仲間ですからね。
今から22年前? 花組以前に加納演出で共演したんだよ。
だから人生の半分以上を僕は高荷と知り合って過ごしてきてるんだよね。
幼なじみみたいなもんかな。


Q.その高荷さんからのメッセージです。


by.高荷
稽古場でよく歌っている“翼の折れた高荷”の誕生秘話を教えてください。

あぁ、あれね(笑)
俺と高荷の冗談なんだけれども。今回土田さんの原作で、
劇団MONOのテイストを崩さずに“水下の演出”でやってるんだけど、
そのテイストを崩さないようにもっていくと、
僕とか高荷のキャラってどうしてもはみ出ちゃうんだよね(笑)
で、それを演出家が訂正したり、ああやれ、こうやれって言うんだけれども・・・

※ここで水下さん登場。黙って(笑顔のまま)ビールを置いて退場。

あ、今水やんがビールを差し入れてくれました〜(笑)
えぇっと、それで、簡単に言うと
僕とか高荷っていうのは芝居が濃過ぎるんだよね、うん。
で、高荷はそれでも押しの芝居だけじゃなくて引きの芝居もきっちりやるんだけど、
僕なんかは基本的には押し一辺倒だから。
0か100?
だから今回みたいに小さい劇場でやるときには、僕達はとても大きく逸脱しちゃうのね(笑)
僕らの定規はでかすぎるの。
で、それをやらないようにすると、これを言うとあまりにも語弊があるんだけど
“僕好みの高荷が消えてしまう”感じ。戸惑うんだよ、二人して。
とっても勉強にはなるんだけどね。
この(土田作品の)世界観は僕とか高荷にはない。
それを表現した歌が『翼の折れた高荷』になるの。
中村あゆみの『翼の折れたエンジェル』って知ってる?

(突然歌いだす北沢氏)
♪高荷も〜 翼の折れたエ〜ンジェル♪
♪私も〜 翼の折れたエ〜ンジェル♪

“そうだね、高荷、お前も飛べないね。実は俺もだよ”って意味なの。
二人飛べないエンジェルなんだよ(笑)
これを稽古合間に歌って慰めあってる。当然冗談なんだけど。


Q.初めて台本を読んで、興味のあった登場人物は?

最初からキャスティングが決まってる場合は自分の役をとにかく好きになるんだけど、
決まってない段階で考えると・・・何かな?
高荷だとあるんだよね、これって言うのが。

※しばらく高荷さんの話がつづく。

まだ稽古に入って間もないけど、
段々水やんのやりたいことっていうのは見えてきたかな。
まだ消化しきれてない事もあるけど。
でもどの役がやりたいって聞かれたら、
もうこの段階では自分のやってる役が一番だね。
この役(=関守・せきまもる)は単純にやろうとすると
非常におちゃらけたキャラになるんだけど、
自分なりの言い訳っていうのが自分の中では確立してるんだよね。

例えば関は高校の教師で女子高生を好きになっちゃうんだけど、
彼に言わせると“僕は高校生しか好きになれないんだよ”っていう
“しょうがないじゃん”みたいなのがあるわけ。
で、彼の中では嘘はないんだよ。
彼なりには納得してる、いやさせようとしてる“言い訳でかためてきた人生”なんだよ。
それがこの脚本の中ではその言い訳を全部取っ払って、
人生めちゃくちゃになるけど最終的に解放されるんだよね。
そういう意味では、関は救われてるのかな。


Q.現代語のお芝居はいかがですか?

非常に覚えづらいね。
あ、とか、え、とか、うんって言うのが必ずどこかに入ってるとか、
「……」とかいっぱいあって。
逆にどんだけ長くても、一人の台詞が2〜3ページになっても
僕はそのほうが覚えやすい。
『相対的浮世絵』に比べたら鏡花作品の方が覚えやすいくらい。
台詞を絵として覚えるタイプだから。
とにかくあ、とか、え、とか標準語すぎて覚えられない。
リアルな会話だと当たり前なのに、何でかね。


Q.ずばり今回の見所は?

見所は…翼を折られた僕と高荷が、
普段見せたことのない顔を見せるって所かな(笑)
当然それだけじゃないんだけどさ。
何で高荷の話ばっかりなんだろう?って…とりとめのない話だったねぇ(笑)
芝居としては、困惑しながらも非常に楽しんでます。
さあて、どう飛ぶか? 観に来て下さい!



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