古代ギリシャ悲劇三大詩人ソポクレスの「アンティゴネ」の翻案!と聞いただけで緊張するのだが、逆に、四世鶴屋南北の「金幣猿嶋郡」の翻案、と謳えば、大概の人が畏まっちゃうのとおんなじか 。
題材をご案内の向きには、その換骨堕胎振りが愉快なんだろうな。そこに、やまゆり園の事件やら、避難児童のイジメ問題が影を落としているのだから、見巧者には堪らない。
出演者総勢十八人!が度々舞台に勢揃いする。一般的な戯曲の場合、喋ってない人物は大よそ死に体になり勝ちなのだけれど、一人として背景化していない。聞けば稽古の過程で、俳優個々の自由発言を随分採用したそうだ。これは作者瀬戸山美咲さんと椿組との信頼関係あっての事で、濃厚な芝居作りが嬉しい。
初日以降体調を崩していた、佐藤誓の復帰第一日目だった。最近演劇賞に輝いた彼の休演には驚いたが、舞台は彼らしい硬軟自在な演技で、ホッとした。元ボスとして自慢の俳優である。