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7月期の1回目。来月、勘九郎丈&七之助丈兄弟が競演する「鏡獅子」を取り上げました。

初演以来指摘されている、演劇改良で何事も歴史に忠実に!を旗印にしているクセに、デタラメな時代考証。

大奥七草の行事「お鏡曳き」に、将軍や御台所をはじめ、高位な女中は参加しなかった。御台所付きの御小姓は12、3歳で元服する。よって16、7歳と思しき弥生は、実際には眉無しお歯黒で振袖は着ない。まして、座興に踊るのは「オトコシサン」と呼ばれる、御広敷(おひろしき)に勤務する下男(しもおとこ)。

後シテが男仕様で、裾を引いて毛を振るという女形が踊る獅子物の定式から外れる。

傾城が踊る前提で作詞された「枕獅子」を、付け焼刃風に改作したので、詞章の一部に無理矢理感が残る。

「高尚癖」「退屈さ」「総じてこけおどかし」散々な言われようなのに、今や玄人も素人もこぞって踊る「鏡獅子」!

それは、九代目団十郎が二度踊った切り、埋もれ掛かっていたこの踊りを、六代目尾上菊五郎が踊り、この作品の素晴らしさを一般に再認識させた功績が何より大きい。生涯で20回以上踊り、歌舞伎舞踊の名作として不動のものにしました。

次回は8月11日(日)午後2時からです。


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