歌舞伎通、文楽通の方には有名なお話ですが、初心者にはちょっと馴染がないかも
というのが『義経千本桜』です。
場面ごとに核となる主人公がいるのがポイント♪
ご観劇の際の参考になれば幸いです(*^_^*)
《序・仙洞御所》
源氏と平氏の最後の戦いである「源平合戦」後。手柄を立てて英雄となった源義経は、兄である頼朝から謀反の疑いを懸けられる。そこに目をつけたのが、自ら天下を狙う藤原朝方。頼朝と義経の離反を企てる朝方は、後白河法王からの褒美だと言って「初音の鼓」を義経に渡す。これには鼓の両面を兄弟になぞらえ「鼓を打つ」=「兄を討つ」との意味が込められていると告げる朝方。断れば法王に背くこととなるが、鼓を打たなければ頼朝に刃向うことにもならないだろうと考えた義経は、鼓を受け取る。
《堀川御所》
義経の屋敷で静御前が舞っている。そこへ頼朝の使いの川越太郎が部下を引き連れてやってくる。義経が手柄に持ち帰った平維盛、知盛、教経の首が贋ものであったことを告げる川越太郎。また、初音の鼓を受け取ったこと、平家の娘を娶っていることも反逆の証だと問い詰める。義経は、「贋首は平家が滅亡したことを世に知らしめ、平和を保つための方便」、「鼓は受け取っただけで手も触れていない」、「妻(卿の君)は平家の養子で、実際は川越太郎の娘である」と説明するが、すでに鎌倉との軋轢は避けられないものとなっていた。義経の潔白を証明するために自害した卿の君の願いもむなしく、早まった弁慶が鎌倉方の武士を討ってしまう。
《伏見稲荷》
弁慶の落ち度を許す義経。そして静御前に初音の鼓を預け、部下と共に都落ちの決心をする。一人になった静は義経を追ってきた逸見の藤太に襲われるが、駆け付けた佐藤忠信によって救われる。戻って来た義経は忠信に「源九郎」の名を与え、自分の代わりとなって静を守る様にと命じる。
《渡海屋・大物浦》
宿屋「渡海屋」で出航の日を待つ義経一行。そこへ鎌倉からの追手が現われ船を提供しろと迫るが、宿屋の主人、銀平が追い返し、義経の船出を促す。実は銀平は平知盛の変装、娘は安徳天皇、妻はその乳母であった。源氏への復讐を誓い船で追う知盛だったが、すべてを知っていた義経一行の返り討ちにあい、乳母は安徳天皇を義経に託して自害。知盛も碇を担いで入水する。
《北嵯峨》
朝方は部下の猪熊大之進を使い横恋慕している平維盛の妻、若葉の内侍を探して捕えようとする。しかし主馬小金吾の機転により、若葉の内侍と息子の六代君は無事に逃げ延びる。
《椎の木・小金吾討死》
夫の維盛を訪ねて旅をする若葉の内侍一行。運悪く悪党、いがみの権太に金をかたり取られ、さらに小金吾は追手に殺されてしまう。一方、維盛は権太の父、すし屋の弥左衛門にかくまわれていたが、鎌倉方の追求は日々厳しくなっていた。維盛の父、重盛は弥左衛門の恩人である。小金吾の遺体を見つけた弥左衛門は一計を案じ、維盛の身替りにしようと小金吾の首を打ち落とし、持ち帰る。
《すしや》
権太の妹お里は、維盛の変装とは知らず、下男の弥助に夢中。父親の留守中にやってきた権太は母親から金をせびるが、弥左衛門の帰宅に驚き、金をすし桶に隠して、自分も身を隠す。戻って来た弥左衛門も、小金吾の首を別のすし桶に隠した。そこへ小金吾を失った若葉の内侍親子が宿を求めて現われ、維盛と再会。弥助の正体を知ったお里は身分違いの恋を嘆くが、鎌倉方の梶原平三がやって来たと聞き、維盛たちを逃がす。すると隠れていた権太が現われ、すし桶を持って維盛を追う。しかし、持って行った桶には金ではなく、小金吾の首が入っていた。維盛を差し出せと弥左衛門に詰め寄る梶原。そこへ権太が維盛の首と、縛り上げた若葉の内侍親子を連れてくる。梶原は首をあらため、褒美に頼朝の陣羽織を置いて帰る。怒りのあまり、権太を刺す弥左衛門。しかし、差し出した首は小金吾の首、内侍親子は実は権太の妻と子であった。改心のかいもなく、権太は死ぬ。さらに陣羽織の中に数珠と袈裟衣を発見した本物の維盛は、頼朝がすべて承知だったと知り、妻子を残して出家を決意する。
《道行初音旅・蔵王堂・河連法眼館》
義経を慕って旅を続ける静御前と忠信。その頃、義経は吉野の河連法眼館に匿われていた。忠信が訪ねてきたと聞き、義経は喜んで静のことを尋ねるが、忠信は全く知らないという。そこへ、静の供をした忠信がもう一人現れる。不審に思った義経は静に詮議を命じる。静が初音の鼓を打つと、どこからともなく現れる忠信。実は自分は狐で、初音の鼓の皮になった夫婦狐の子供であると語った。義経は狐の親孝行な心に感心し、鼓を与える。狐は、横川覚範たち僧侶が今夜義経を襲う計画を立てていると告げ、神通力で彼らを翻弄。鼓を抱えて故郷へ帰っていく。現われた横川覚範は、自分こそが教経だと名乗りをあげ、忠信と対峙するが、安徳帝の言葉により改心する。川越太郎によって捕えられた藤原朝方も連れてこられ、「初音の鼓」をめぐる悪事が露見。さらに平家追討の院宣も朝方の仕業と聞いた教経は朝方の首を討ち、自らも忠信に討たれる。
満来