座長が耳打ち!新キャラクター見参! 

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前回までは、初演版「聖ひばり御殿」の登場人物を、
キャスト・裏エピソードを交えてご紹介しました。
今回は、再演にあたり新たに加わったキャラクター達をご紹介!
さあさあ、役は出揃いました!
誰がどんな役で登場するのか、楽しみにしていてくださいね♪

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●犬神刑部(ぎょうぶ)

本来の表記は「隠(いぬ)神刑部」。四国の狸界総元締めと言われています。「隠」を「犬」にして、復権裁判の裁判長としました。だから犬です。律令制で「刑部省」は、司法全体を管轄していました。「うたえただすしょう」とも読みます。ジャンヌの復権裁判は当時の慣例で、関係ある町々へ出向き、証人を呼び証言を集めるという形。そのせいか、国王シャルル七世が調査命令をしてから、判決が下るまで6年以上掛かってます。火刑に処されてから25年目に、ジャンヌの汚名は雪がれました。


●勝烏(かささぎ)お静

モデルは「笠置(かさぎ)シヅ子」。おばさん女優時代をご存知な方でも、彼女がOSK(大阪松竹歌劇団)出身で、日本でのブギウギ(ジャズの一形式)先駆者で、♪わてほんまによういわんわ!「買物ブギー」を歌った超スター歌手(その頃は「笠置シズ子」)だった事は知ってらっしゃいます?彼女の歌手としての舞台を見た母から、話には聞いてましたが、想像もつかなかった。最近になり、何でも見られるYouTubeでやっと拝見!ダイナミックですな。聞いた通り、舞台の端から端まで、踊りまくってました。


●讃岐十八郎(とうはちろう)

モデルは「サトウハチロー」。詩人で、作詞や小説も書きました。♪ひよこがね、お庭でぴょこぴょこ~。僕らの世代だと、ギリギリ彼の歌声が記憶にありますね。決してキレイな声じゃないのだが、味のある、太い黒縁眼鏡と確かヒゲがあったかな?そのイメージと共に、あったかい父親の子守唄のようで、いいムードでした。数多くの校歌を作詞しています。因みに、僕が通った中学の校歌は、芥川也寸志氏の作曲でした。


●狸穴(まみあな)屋金(きん)之助

梨園から銀幕へ転進した方々をゴチャ混ぜにしました。女形(長谷川一夫は、若い頃から美貌で評判でした。大川橋蔵も尾上菊五郎劇団の若女形だった)が多いですね。戻って来た方もいました。初代坂東好太郎、二世坂東吉弥、八世嵐吉三郎など。今の雀右衛門さんも、6年程の期間でしたが、銀幕で主役を張ってました。佐々木小次郎役が大評判だったなんて、信じられます?尾上菊五郎劇団は、戦後暫く劇団ぐるみで映画に出演していました。芝居よりギャラが高く、随分助かったそうです。

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●尾川まみ

狸穴屋金之助の母。父は狸穴屋金蔵を名乗るその家の当主だから、所謂「梨園の妻」。昔の奥様は、芝居関係(役者や芝居茶屋など)の娘さんが多く、歌舞伎に対して相当な見識を持っていて、役者の亭主に駄目出しする人も多かったようです。劇場の表側での、ご贔屓とのお付合いも重要な仕事ですが、余り信頼が厚すぎて、離婚した途端にお客が激減した例もあります。一体彼らは、誰を贔屓にしてたんでしょう?


●井狸(いだぬき)小夜

父狸たぬ吉の不倫相手。雄はバラまくのが仕事だからね(苦笑)。こう書くと絶対怒り出す女性がいらっしゃる。でもね、これ自然の摂理なんです。水商売の愛人なんて絵に描いたようですが、接客業というのは、そういう落とし穴に落ち易いんでしょうね。公娼制度があった頃の、「出来た」玄人愛人は身の程を弁え、旦那の家には季節毎の挨拶や付け届けを怠らなかったそうです。万一男の子を産むと、旦那へ捧げ、女の子の場合は手元で育てたと聞きます。


●福ワケル

田の君のマネージャー。マネージャーって我々の世界では重要なポジションです。もれ聞いた話。所属事務所を辞め、フリーになった或る俳優。一方、これも会社を辞めたばかりのマネージャー。周囲の友人が、お前達二人それぞれ一人なんだから、くっついて仕事したらと勧めた。結果、その俳優は超売れっ子となりました。世の中判らないものです。自分が見出した人間を育て、やがてスターにする、マネージャーにとって冥利に尽きるとは、これでしょう。


●元祖姫狸田の君

田の君が世に出る随分前に引退していた、同じ名前のスター。ジャンヌ・ダルク存命中に、白衣の聖母と会ったという女(カトリーヌ・ド・ラ・ロシェル)が出現しましたが、直ぐ嘘がばれたと伝えられています。死後にも偽者が現れましたが、こちらは不思議にも数多くの人々が信じ(実の兄すらも騙された!?)、4年間もジャンヌを名乗り、歓迎のパーティやら移動の旅費も頂戴するなど、ウマい事してたようです。


   花組芝居 加納幸和