富姫/座長

| 修正

初演、後半の赤姫着付、無地だったのですが、衣裳屋さんからお借りしたもので、生地の重ね具合が本物だったので、重くてね。40歳前だったのに、幕切れ近く、引いた裾やら振袖やらを奇麗に見せるなんて余裕が出なかった。再演は軽い物を誂えたので、どうにかでした…。出たら最後、引っ込んでもアタフタ着替えてますから、休む間無し。とても気持ちの良い役ですが、花組演出だと体力的に「エライ」のです。

今年三演目、花組HON-YOMI芝居なので、そういった足枷(あしかせ)がないんで、台詞に集中して鏡花世界を純粋にお見せしようと思います。

2000年再演の逸話。床山の助っ人に大歌舞伎出身の方が入ったんです。或る立女形を担当していらした事を初日が開くまで知らなかったんですが、舞台稽古で御老屋の亀姫の頭を見て思わず「鬢(びん)がいい形だね~」。僕がデザインした初演以来の侍女達の紫帽子も「饅頭」型を選択しててね。それを指摘したら、「知ってるから怖いな」と言われました。